検証・大震災:福島第1原発 汚染水対策、漂流2年半
毎日新聞 2013年09月07日 東京朝刊
「原発周辺の地下水の状況を調べてほしい」。中長期対策チームの責任者として汚染水対策を担う馬淵澄夫首相補佐官は4月中旬、東電幹部に要請した。汚染水が地下水を汚すのを懸念したほか、山側から大量の地下水が建屋に流れ込み、汚染水の量を拡大させていると考えたからだ。
「地下水の遮断が必要」との助言は内閣官房参与の大学教授からも寄せられていた。東電担当者は「地下水との関連は考えにくい」と渋ったが、調べさせると、建屋直下に阿武隈山系の地下水流があった。
それでも東電は「汚染水と地下水が混ざり合うことは考えづらい」と反論した。「地下水も建屋内も水位に変化がなく、水圧のバランスが取れている」という理由だった。馬淵氏は国土交通相時代の部下ら直属スタッフ数人で独自調査を始める。原発の補修工事の際に提出する「不適合報告書」をしらみつぶしに当たり、過去に地下水が建屋に流入した事例が何度もあったことを突き止めた。