大相撲秋場所(15日初日・両国国技館)を前に横綱審議委員会(横審)による稽古総見が6日、東京・両国国技館内の相撲教習所で一般に非公開で行われた。新入幕の遠藤(22)=追手風=は積極的に土俵に上がり、横綱白鵬との6番では1勝してみせた。
次代を担うエリートはひと味違う。史上最速の所要3場所で幕内に駆け上がった遠藤にとって初参加の稽古総見。前日、「雰囲気が分からない。きっとバタバタしそう」と話したが、最強横綱をただ一人倒し、存在を強烈にアピールした。
隠岐の海ら平幕相手に3勝3敗のあと横綱白鵬に指名されて6番。最初の3番はまわしも取れず圧倒されたが、見せ場は4番目。やや立ち遅れた横綱に対し、得意の突っ張りで後退させ、一気に土俵の外へ押し出した。合計12番で4勝8敗。
「(指名されて)うれしくてガッツポーズが出そうになった。でも力不足。全身に吸盤がついているようで引き寄せられてしまい、自分の距離で取れなかった。これが横綱か、と思った」
最後に白鵬の胸を借りてのぶつかり稽古。途中で足を気にするそぶりを見せたため3分ほどで切り上げたが、全身砂だらけになり必死の形相で食らい付いた。白鵬はこの日20番で19勝1敗。唯一の黒星が遠藤だった。
「思い切りの良さが出ていた。この気持ちを持って頑張ってほしい」と激励した白鵬は「部屋に来いよ」と出稽古の誘いも送ったが、師匠の追手風親方(元前頭大翔山)が消極的で今場所そのチャンスはなさそうだ。 (竹尾和久)
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