オスプレイ:突然の訓練発表に懸念の声 滋賀・高島
毎日新聞 2013年09月06日 12時13分(最終更新 09月06日 20時39分)
◇「防災」高知は一定の理解
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを使った日米共同訓練が実施されることになった滋賀県高島市と高知県。防衛省の突然の発表に地元からは、安全性を懸念する声や国が安全を確保するよう求める声が上がった。【千葉紀和、塚原和俊、倉沢仁志】
滋賀県庁と高島市役所を及川博之・近畿中部防衛局長が6日訪れ、訓練について説明した。嘉田由紀子知事は賛否を明らかにしなかったが、「高島市と連携し、来週早々にも次のアクションをとりたい」と述べ、安全確保の申し入れなどを行う意向を示した。
嘉田知事は、饗庭野(あいばの)演習場が選ばれた理由や沖縄の負担軽減になるのか質問。及川局長は「ヘリを使う合同訓練が饗庭野であり、海兵隊が来るため」「沖縄で行っている訓練の一部が本土に来れば負担軽減になる」と応じた。飛行ルートなどは「決定後速やかに知らせる」とした。
これに先立ち及川局長は、高島市役所で福井正明市長に面会。福井市長は「もう少し早く知らせてほしかった。住民への周知が必要で、不安を払拭(ふっしょく)するために詳細な内容を速やかに知らせてほしい」と要請。及川局長は、説明のため職員を派遣する考えを示した。
訓練について高島市の市民団体「あいば野平和運動連絡会」の早藤吉男共同代表(71)は「市民の不安は高まっている。1カ月前に発表する態度も許せない」と憤った。10月6日に反対集会を開く。
高知県では中国四国防衛局の松田尚久企画部長らが県庁を訪れ、10月下旬の南海トラフ巨大地震を想定した日米共同防災訓練でオスプレイを使用することを説明。高松清之・県危機管理部長は「県民には事故に対する懸念がある。安全の責任は国が持ってほしい」と求めた。ただ、尾崎正直知事は8月28日の記者会見で「低空飛行訓練とは一線を画して議論すべきだ。輸送能力確保が重要ということになれば、災害時に『オスプレイだからだめ』ということにはなり得ない」と述べ、一定の理解を示している。