オスプレイ:10月に滋賀と高知で訓練 防衛省が発表
毎日新聞 2013年09月06日 11時36分(最終更新 09月06日 21時01分)
防衛省は6日、10月に滋賀県と高知県で行われる自衛隊と米軍の共同訓練に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配備されている米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが参加すると発表した。国内での日米共同訓練にオスプレイが参加するのは初めて。防衛省幹部は「訓練中は沖縄のオスプレイの数が減り、沖縄の負担軽減にもつながる」と説明するが、沖縄県が求める訓練の本土移転など抜本的な負担軽減策との隔たりは大きく、県民の理解が広がるかどうかは見通せない。
防衛省によると、滋賀県では陸上自衛隊の隊員が射撃訓練や市街地戦闘訓練をする際、オスプレイで移動する。高知県では、南海トラフ巨大地震を想定した防災訓練の一環でオスプレイを使用。同県沖に展開したヘリ搭載護衛艦「いせ」から岩国基地(山口県岩国市)への負傷者の搬送訓練に使う。ただ、同省の辰己昌良報道官は6日の記者会見で「具体的な期間や規模は固まっていない。関係自治体には改めて説明したい」と述べた。
政府は沖縄県の負担を軽くするため、米海兵隊のオスプレイが県内で行っている訓練の一部の本土移転に向けて米軍側と調整している。オスプレイは開発段階で死亡事故が相次ぎ、移転先からの反発が予想されるが、政府関係者は「今回の訓練が無事に終われば、『危険な航空機』という印象は薄れるのではないか」との見方を示した。また、防衛省が目指す2015年度以降の自衛隊へのオスプレイ導入をにらみ、用途などの検討材料を集める狙いもある。
小野寺五典(いつのり)防衛相は7日、沖縄県を訪れ、オスプレイの滋賀、高知両県での訓練参加について仲井真弘多(ひろかず)知事に説明する予定。防衛省幹部は6日、「沖縄県側は負担軽減策として十分とは思わないだろうが、政府がしっかりと取り組んでいるという姿勢は示せるだろう」と期待を込めた。
これに対し、沖縄県幹部は「政府の姿勢は前向きに受け止める」としつつ「訓練期間やオスプレイの参加機数などが分からず、県民が負担軽減を実感できるものになるかどうか、今後見極めたい」と話すにとどめた。政府の今回の訓練発表が、普天間飛行場の名護市辺野古移設の環境整備も狙ったものとの見方については「オスプレイと移設は別々の課題だ」と指摘した。【青木純、井本義親】