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【社会】けん玉一家 3代目の一歩 あす初段検定 最年少合格狙う
親子二代にわたり、けん玉教室を開いてきた静岡県沼津市のけん玉一家の四歳九カ月の男児が七日、地元で日本けん玉協会(東京都千代田区)の検定初段取得に挑戦する。成功すれば福島県の女児の五歳九カ月を抜いて史上最年少記録になる。生後五カ月から道具に親しんだ早熟の「三代目」は、自然体で練習に励む。 (山下葉月) 挑戦するのは、けん玉講師で音楽家の大川英一郎さん(36)の長男大和(やまと)ちゃん。「かっこいい黒いのは本番用で、水色は練習用なの」。沼津市江原町にある祖父の隆久さん(75)宅で、小さなリュックの中から赤、黒、ピンクと色鮮やかな玉を持つけん玉を取り出し並べていく。本番用、練習用などと十二種類の用途に分けて使っているそうだ。おむつがとれる前に玉を大皿に乗せていたという。 「生まれ持っての何かがあるんです」。大和ちゃんの先生でもある英一郎さんは、目を細める。自身も六歳の時、初めてけん玉に触れ、いきなり筋のいい技を披露した。腕をめきめき上げ、二十八歳で全国優勝を果たした。現在は御殿場や浜松など県内八カ所で、隆久さんの代から三十五年続くけん玉教室を継ぎ、子供たちを教えている。 「けん玉に必要なのは膝を使う柔軟性と集中力」と隆久さん。大和ちゃんは、膝を大きく使って玉の上にけん本体を立たせる「灯台」、けん本体八カ所に玉を乗せる「世界一周」といった大技を細い腕で次々に決めていく。腕力は決して必要ない。 大和ちゃんが挑戦する初段は、灯台や世界一周など十種目を規定回数こなし、大皿と中皿に玉を交互に乗せ続ける「もしかめ」を二百回行わなければならない。日本けん玉協会によると、初段以上の段位取得者は全国で千二百人で、中学生までは三百四十人だ。 記録会は午後五時から、沼津駅北口の市の展示施設「キラメッセぬまづ」で。大和ちゃんは「できるよ」と気合十分で、当日は父と祖父が見守る。 PR情報
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