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【経済】ドコモがiPhone 今秋発売で最終調整2013年9月6日 13時56分 携帯電話最大手のNTTドコモは、米アップル社の人気スマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を秋に発売する方向で最終調整に入った。先行して取り扱うソフトバンクモバイルとKDDI(au)に押されて契約者数が伸び悩んでおり、アイフォーンの販売で挽回を狙う。 アップルは、十日(日本時間十一日未明)に米国でアイフォーンの新機種を発表する見通しで、合わせてドコモの取り扱いを明らかにするとみられる。 アイフォーンは二〇〇七年に米国で最初のモデルが発売され、シンプルなデザインで人気となり、スマートフォン市場の火付け役となった。利用者の好みに応じて音楽やゲームなど多くのソフトを楽しむことができ、アップル社を通じて音楽やソフトを購入する仕組み。 同じサービスを提供したいドコモは、販売台数をめぐってもアップルと折り合わず、これまで取り扱ってこなかった。 これに対し、ソフトバンクは〇八年、KDDIも一一年から取り扱いを開始。ドコモから両社への顧客流出が続き、電話番号を変更せずに携帯電話会社を変える番号継続制度(MNP)では、一二年度は過去最高の百四十万件の契約がドコモから転出した。同社は流出に歯止めをかけるためアイフォーンの取り扱いにかじを切る。 国内最大手の携帯電話会社が人気機種を扱うことで、すでにアップルに押されている国内の携帯電話メーカーが苦境に立たされるのは必至の情勢だ。 ◆顧客流出 劣勢挽回へ <解説> たかがスマホ一機種の販売開始が大きな出来事なのか−。NTTドコモがiPhone(アイフォーン)を取り扱うことを、冷めた目で見る人は少なくないだろう。ただこの変化は、日本の携帯電話業界の環境を一変させる価値を持つ。ひいては各社間のサービス競争が激しくなり、価格面などで消費者に利点をもたらす可能性がある。 米アップル社のアイフォーンは、創業者の故スティーブ・ジョブズ氏が開発した携帯電話だ。番号ボタンと液晶画面を組み合わせた「ケータイ」を、指でなぞって操作する「スマホ」へと革新させた。意匠の美しさもあり世界で大ヒットした。 だがドコモはアイフォーンを取り扱わなかった。米アップルは圧倒的な人気を武器に、膨大な販売ノルマや厳しい取り扱い条件などを課し、ドコモは拒絶してきたとされる。国内最大手として、アイフォーンなしでも生き残れるという自負も少なからずあった。 それが一転、両社が歩み寄った背景には、携帯電話をめぐる業界内の厳しい競争がある。ドコモは近年、顧客が他社に流出し劣勢に陥っていた。一方の米アップルも、韓国サムスン電子などのスマホが勢力を伸ばし、苦戦を強いられていた。 両社が最終合意すれば、日本の携帯大手三社がすべてアイフォーンを販売する。今後は、価格やサービス面などで三社が激しく争うことになる。それが消費者に恩恵をもたらすのなら、悪い競争ではないだろう。 (石川智規) <iPhone(アイフォーン)> 米アップル製のスマートフォン(多機能携帯電話)。初代モデルは2007年6月に米国で発売され、タッチパネル画面を指で触って通話やメール、インターネットを行う独特の操作感や、手軽に映像や音楽を取り込める機能が人気を集めた。日本では08年にソフトバンクモバイルがアイフォーン3Gの販売を始めた。11年に発売したアイフォーン4SからKDDI(au)も導入した。 (東京新聞) PR情報
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