東日本大震災:福島第1原発事故 汚染の状況「ベクレル」で示せ 規制委員長、東電を批判「測定イロハ知らぬ」
毎日新聞 2013年09月06日 東京朝刊
原子力規制委員会の田中俊一委員長は5日の記者会見などで、東京電力が福島第1原発事故の汚染状況をシーベルト単位で発表していることについて、「重さを長さの単位で表すようなもので(放射線測定の)イロハを分かっていない。国際社会を混乱させており、若干怒りを持っている」と批判。「汚染状況を示す場合はシーベルト単位を使うべきではない」と述べ、今後はベクレル単位に改めるよう求めた。
シーベルトは放射線による人体への影響を表す単位。一方、汚染状況を示す場合は、物質が放射線を出す能力を表すベクレルを使うのが一般的。田中委員長は、東電の「タンク床面で毎時230ミリシーベルトを検出した」との先月末の発表を例に「この線量は透過性の弱いベータ線で、防護マットなどで防げば放射線は出てこない」と指摘し、数字が独り歩きすることに懸念を示した。
田中委員長は、東電に対して適切な測定方法などを指導するため、近藤健次郎・高エネルギー加速器研究機構名誉教授を規制委の技術参与に充てることを表明。「ハウツー的なことも含め、東電に手取り足取り指導する」と語気を強めた。【中西拓司】