稽古で胸を出す遠藤（左）

　大相撲秋場所（１５日初日、両国国技館）で新入幕の遠藤（２２＝追手風）に早くも「大物」の予感だ。６日には横綱審議委員会による稽古総見に参加する予定で「“遠藤は手応えがなかった”と言われないように頑張ります」と意気込みを口にした。

　所要３場所での新入幕は史上最速。注目度は急上昇しているが、それでも本人に浮かれている様子は全くない。複数の民放キー局が出演を打診したが、そのすべてを断ったという。しかも、いずれのオファーもバラエティー番組ではなく、れっきとしたスポーツ関連番組への出演依頼だったのだから驚きだ。

「タレント活動」と見られがちなバラエティーならともかく、あくまで新入幕力士として取り上げられるのなら、出演しても後ろ指をさされることはないはず。遠藤は、なぜオファーを拒否したのか。事情に詳しい関係者は「本人は新入幕だけでは満足していない。もっと上を目指している。（テレビ出演は）現時点では時期尚早と考えたようだ」と説明した。

　新入幕では騒がれるに値しない。本格的にテレビに出演するのは、さらに番付を上げて実績を残してから――。凡人には決してできない発想だ。周囲の注目にも、どこまでも冷静な２２歳。角界に末恐ろしいホープが出現した。