アレルギーについてアメリカで学んだこと

〜 アレルギーの原因は環境汚染だった 〜



私は平成12年、アメリカ合衆国テキサス州、the Environmental Health Center-Dallasおよび、 ニューヨーク州Allergy & Environmental Health Center of Western New YorkおよびEAR,NOSE & THROAT CENTER の3ヶ所で、臨床環境医学に基づいたアレルギー疾患の治療について4ヶ月間研修を受け、これらアメリカの斬新な考え方と治療法にとても大きな衝撃を受けました。ここではそれらを簡単にご紹介したいと思います。最近のアレルギー疾患の増加と重症化の原因は、私たちの回りを取り巻く環境の激変です。空気、水、土、食物、住居、ストレスなど、身の回りのすべての物を見てみましょう。それらは、100年前と同じでしょうか。人間の遺伝子はゆるやかな変化には対応できますが、あまりにも急激な変化には対応できません。回りが急激に変化したとき、個体は自分の体の中から何らかのシグナルを出して、「ここは何かおかしいぞ。すぐここから逃げ出せ。」と自分自身に気づかせます。それでもそこに留まっていたら、その個体は回りの異物を処理できずに変調をきたします。そのシグナルと変調の二つがアレルギー症状なのです。 ですから、アレルギーの根本治療は、地球をもとのきれいな状態に戻すことなのですが、残念ながらそれは出来そうもありません。よりきれいなストレスのない場所に移住することでさえも、現実的には不可能です。私たちはもはやここからは逃げ出せないのです。では、その限られた状況の中で具体的にどうすればよいのでしょうか。一言で言えば、「周りの環境や体の中から、悪いものは排除して、良いものを取り入れる」ということに集約されます。

@自分の身の回りの環境だけでも整えましょう。
寝不足、過労、ストレスはアレルギーを悪化させます。有害な食物(農薬、合成保存料や着色料を含め)、合成洗剤、化学薬品などは極力避けるようにしましょう。じゅうたんを除き、布団を干し、よく掃除をしてダニ対策をしましょう。高温多湿はかびの繁殖も促進します。空気清浄器、浄水器、外出時のマスクの使用も有効です。

A四日間の回転食にしましょう。
食物はいったん体に入ると完全に外に出るのに四日間かかります。体にまだ、ある食物が残った状態で、またその食物が入ってくると、アレルギーを起こしやすくなります。特に食物アレルギーのある人は、「同じものは四日に一度しか食べない」というのを原則にしましょう。

Bもっと汗を流しましょう。
体にたまった有機溶媒(接着剤やシンナー、殺虫剤などに含まれています)などの有害化学物質の一部は、によって排出されます。皮膚炎がある程度改善されてきたら、運動サウナで出来るだけ汗を流しましょう。(*アメリカではキレーションというEDTAやDMPSなどのキレート剤(金属を包み込んで水に溶けるようにする物質)の点滴や内服によって有害金属を積極的に体の外に出す治療が行われていますが、日本ではまだ一般的ではありません。人間は自浄作用として、体にたまった有害金属をある程度排出する力を備え持っています。次に述べるように、必須ミネラル、ビタミン、アミノ酸などの摂取はこれを助けます(自然のキレーション)*体にどんな有害物質がたまっているかは、毛髪検査をするとよくわかります。)

Cもっとビタミンや必須ミネラルの補給を。
現代の、化学肥料で育てられた野菜、果物やそれらを飼料として与えられた動物の肉は、昔のものと同じ形をしていてもスカスカで、必要なビタミン必須ミネラルを十分に含んでいません。特に、アレルギーのある人は概して腸管からそれらのビタミンやミネラルを吸収する力が弱いため、それらがさらに不足しています。ビタミンやミネラルが潤滑油のような働きをして、体の調子が整えられているため、それらが不足すると体の調子が狂って、さらにアレルギーが起りやすくなるという悪循環を繰り返しています。ですから、出来るだけそれらを十分含んだ有機栽培のものを食べましょう。(*アメリカではマグネシウム、亜鉛、セレンなどの不足しがちな必須ミネラルやビタミン、特にB、C、E の処方をしています。)

G腸管内に繁殖したカンジダや悪玉菌を駆除しましょう。
アトピーのある人は、腸の中にカンジダというカビが生えているために、食物の消化吸収がうまくいっていないことがあります。カビの繁殖によって傷んだ腸から、未消化の食物が吸収されて血液の中に入るとアトピーの原因になります。甘いものや納豆など発酵させた食物をたくさん食べることはカビの繁殖を促進します。下痢や便秘をくり返し、いつもお腹の調子が悪い人はこの疑いがあり、検便で、このカンジダが生えていることが確認できたり、血液検査でカンジダに対する特異的IgEが上昇していることがあります。このような場合は、ナイスタチンなどのカビを殺す薬でアトピーが改善することがあります。また、便の培養によって、病原性大腸菌などの悪玉菌が腸の中にいることが確認できた場合、それを退治する抗生剤や、乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸菌などの善玉菌製剤を内服すると、アトピーが改善することがあります。

E誘発中和療法
体にアレルギー反応をおこすものを、逆にごく微量体に入れることで、アレルギー反応を中和できることを利用した皮下注射によって、積極的に体に耐性をつけさせようとする治療法です。(日本では、一般には行われていません)


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