「西成のマザーテレサ」と呼ばれた女医、矢島祥子さんの遺体が川に浮かぶ一週間前、彼女はマスコミ関係者と会っていたと報じられている。
この情報を遺族に提供したのが、今から一年前に突然不審死した佐藤豊氏だ。矢島さん事件の真実を追及するために、数多くの取材を受け、集会を開くなどしていた人物である。命を失う直前にも事件報告会を開き、そのときからすでに多くの脅迫を受け、身の危険を感じていたことを語っていた。その佐藤氏の死亡を伝えるニュース記事を引用する。
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<西成でアパート火災、男性が死亡 大阪>
(2012.8.7 02:25)
6日午前9時40分ごろ、大阪市西成区花園北のアパート3階の無職、佐藤豊さん(64)方付近から出火。同室を全焼し、焼け跡から男性の遺体が発見された。西成署は、亡くなったのは佐藤さんとみて身元確認を進めるとともに、出火原因を調べている。同署によると、佐藤さんは1人暮らし。
アパート住人が佐藤さん方から煙が出ているのを見つけ、佐藤さんのケアを担当している社会福祉法人の男性職員(34)らが駆けつけて119番。この職員と住人の50代男性の2人が煙を吸って病院に搬送されたが、いずれも軽症とみられる。
(MSN産経ニュース)
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「焼死した佐藤をよく知っているからな。酒を飲んだりの付き合いで、今のままでは浮かばれんと思ったんや」
この佐藤氏と付き合いのあった男性に会うことができた。男性は筆者と会うなり、今回の取材を受ける理由を簡潔に語った。
――矢島さんの不審死は2011年9月で、佐藤氏の不審死は昨年8月。ずいぶん時間が空いている。
「そりゃすぐに死ぬと事件になるやん。時間開けたとちゃうんか。はじめは女医さん自殺で片付いてたやろ。それが落ち着くのを待ってたんやろ」
――矢島さんは当初、自殺と断定された。
「自称恋人というジイさんが自殺と言い出して騒いだからや。そうはいうても、その男は極左、元●●●●のメンバーやで。そうや、よく三角公園で演説しとったわ」
――2人の不審死には何が隠されているのか。
「ホームレスを食い物にする利権や。死んだ2人は『野宿者ネットワーク』やったかな。そこで夜回りをよくしてた。感心するくらいに。それを面白くなかった連中がおるんや。夜回りなんかされて『夜回りネットワーク』の人気が出てきた。それに『野宿者ネットワーク』は行政と喧嘩ばっかや。行政とくっついて福祉アパートなんかやっている古くからあるNPOに人が集まらなくなったいうんが大きい」
――矢島さんを邪魔に思っていたものがいたと。
「●●●の●●診療所とかな。すぐ薬出す医者や。貧困ビジネスを手掛ける医者でNPOなんかもやっている。わしもよくデパス貰いに行っていたんやけどな。ほかにもヤクザ、宗教も絡んどる。単独チームやない。この事件には釜ヶ崎の複数のルートが絡んどる。詳しい名前は勘弁してや」
――矢島さんの部屋を掃除したという人物の証言は得た。
「そんなん日雇いで雇われただけやろ。事件のことは何も知らんはずや。プロやで奴らは。佐藤も変なとこに首突っ込んだもんやで。女医さん死んだ後、釜ヶ崎の奴らに何も言うなって言われてたからな」
――いわゆる「貧困ビジネス」関連か。
「彼らはホームレスを病院に紹介して、バックマージンを貰っている。ホームレスはカネになる。入院させてもいい。確保して住まわせてもいい。日本国籍持ってるホームレスなら生活保護で一発や。その件を女医さんが問い詰めたらしい。そこに同席していたのが佐藤ともう1人、何処かに消えた奴や。それは死んだ佐藤に聞いた。女医さんが殺された少し後にな。女医さんは釜ヶ崎と縁を切れと言ったらしい」
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西成のマザーテレサと呼ばれた矢島さんのみならず、彼女の周辺関係者までも不審死に追いやられているのが、この事件の恐ろしいところである。
当然ながら、この佐藤氏の不審死に関しても事態は何ら進展していない。
この男性は最後に言った。
「人間いうんは、億単位のカネが動かんと人はよう殺さんで」
<次週に続く>
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Written by 西郷正興
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