被災者支援法:復興庁、議事録作らず 会議資料も開示せず
毎日新聞 2013年09月06日 06時00分(最終更新 09月06日 09時24分)
東京電力福島第1原発事故に対応する「子ども・被災者生活支援法」で、復興庁が支援対象地域や内容を決める際に関係省庁と協議した会議の議事録が作成されていないことが、同庁への情報公開請求で分かった。会議資料についても同庁は「国民の誤解や臆測を招く」などとして開示しなかった。復興庁は、会議の存在も明らかにしてこなかった経緯があり、「秘密体質」が改めて問われることになりそうだ。【日野行介、袴田貴行】
同庁は8月30日、福島県内33市町村を支援対象地域とする基本方針案を公表した。本来は放射線量の基準を決めて対象地域を線引きするはずだったが、同庁は基準を決めないまま自治体単位で指定する手法に転換。「対象地域を不当に狭めている」と批判を浴びた。
この方針案について、根本匠復興相は「関係省庁間の意見交換、議論を踏まえた」と説明。関係省庁の課長や参事官が参加するこの会議で事実上決められたことを示唆した。
毎日新聞は方針案が出る前の7月上旬、会議での協議の経過を知ろうと、同庁に議事録や提出資料の公開を請求した。
これに対し同庁は9月4日、4月から6月までの4回の会議の日時、場所、出席者と議事次第を記した文書計8枚を開示したが、協議内容を記録する議事録は作っておらず「不存在」と回答。各省庁が検討用に提出した資料約120枚は「現段階で未成熟な情報で、公にした場合は国民の誤解や臆測を招く」などとして「不開示」とした。
議事次第などによると、会議は復興庁が主催し、環境省、内閣府被災者生活支援チーム、原子力規制庁の課長や参事官らが出席。上司に当たる復興庁統括官や規制庁次長が出席することもあった。
同法は、被災者の意見を反映させ、議論の透明性の確保を規定している。また、原発事故を巡っては昨年初め、政府の原子力災害対策本部などが議事録を作成していなかったことが問題化。政府の公文書管理委員会は2012年4月、東日本大震災関連の会議では積極的に議事内容の記録を作成するよう求めている。
議事録を作らず、資料も出さないことについて、復興庁は「公文書管理法は、議事録などの作成を一律には求めていない。会議は意思決定ではなく情報交換の場と位置づけている」としている。