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【社会】

婚外子相続差別は違憲 最高裁初判断 家族の多様化考慮

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 結婚していない男女間に生まれた婚外子の遺産相続が、結婚した夫婦の子の半分とした民法規定が憲法に反するかどうかが争われた裁判の特別抗告審の決定で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)は四日、「憲法一四条が保障する法の下の平等に反する」として、規定を違憲とする初判断を示した。

 最高裁が法律の規定を違憲と判断したのは、婚外子の国籍取得をめぐる二〇〇八年六月の国籍法判決以来、戦後九件目で、民法では初めて。明治時代から百十五年続く民法の規定は改正を迫られる。

 決定を受け、政府は早ければ秋の臨時国会で民法改正を目指す。

 決定は、十四裁判官による全員一致の意見。法務省民事局長を務めた経験がある寺田逸郎(いつろう)判事は加わらなかった。

 大法廷は決定理由で、「家族形態の多様化や国民意識の変化などを考慮すると、子にとって選択の余地がない理由で、不利益を及ぼすことは許されない」との判断を示した。

 その上で、今回決定を出した二件の裁判のうち、先に死亡した東京都の男性の相続開始時である〇一年七月には遅くとも、規定が憲法に違反していたと認定した。

 決定によって、進行中の相続紛争なら、婚外子も同等に遺産相続できることになる。最高裁の調査によると、全国の家裁で継続中の調停や審判のうち、婚外子に関わるのは昨年末現在、全体の1・6%の百七十六件。

 一方、〇一年七月以降で既に解決した遺産相続について、法的安定性に配慮し、今回の違憲判断は影響せず、相続内容を覆すことは相当でないとした。

 今回争われたのは、〇一年七月に死亡した東京都の男性と、同年十一月に死亡した和歌山県の男性の遺産分割をめぐる家事審判。各一、二審は規定を合憲とし、婚外子側が最高裁に特別抗告した。

 最高裁は今年二月、二件を第一小法廷から大法廷に移す「回付」を決定。大法廷は判例変更の場合などに開かれるため、違憲判断の可能性が高いとみられていた。今回の決定で、審理は東京、大阪両高裁に差し戻される。

 大法廷は一九九五年、賛成十人、反対五人で規定を合憲と判断していた。

 <婚外子> 事実婚など法律上の結婚をしていない男女の子ども。民法は結婚している夫婦の子どもを嫡出子(ちゃくしゅつし)と規定し、婚外子は非嫡出子とも呼ばれる。婚外子は1990年の1万3000人から2011年は2万3000人に増加。出生数に占める割合も1・1%から2・2%に上昇した。相続については民法900条4号ただし書きで「嫡出でない子の相続分は嫡出子の2分の1とする」と規定。親が遺言を残した場合は、遺言の内容が優先される。

 

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