事態が動き出すのは23年8月になってから。曽祖母が同市にこう申告したからだ。「男児とは同居していない。住民票から外してほしい」。男児分の国民健康保険料の納付を曽祖母に求めたのがきっかけだった。
これを受け、同市は本格的な調査を開始。男児の実母は聞き取りに「生後1カ月半で、父方の祖母が連れて帰った」と回答。それっきり会っていない、との説明だった。一方の祖母は「知らない」と釈明した。市は事件に巻き込まれた可能性があると判断し、府警に通報。男児の行方不明はここに来て初めて、表面化することになる。
男児の家族をめぐる問題については、府警も以前から認識していた。出生直後の14年10月、祖母が母親から預かった男児を返さず、トラブルになったからだ。
母親から相談を受けた富田林署員は祖母に「返さなあかん」と注意していた。祖母が「分かった」と返答し、その後は母親から何も言ってこなかったため、同署は解決案件と判断していた。「このとき、もう少し突っ込んで捜査できていれば」と、ある捜査員は悔やんだ。
■見つからない遺体
府警は昨年4月、祖母ら親族4人を生活保護を不正受給した詐欺容疑で逮捕。男児の行方不明の真相についても本格的な捜査に乗り出し、男児の出生から約5カ月後の15年2月に同市西条町の河川敷に遺体を埋めたとの供述を引き出した。
捜索が始まったのは昨年7月。捜査員は連日、泥だらけになって作業を続けたが、男児の骨らしきものは見つからない。現場から骨や歯のようなものが見つかり、現場がわき立つこともあったが、鑑定してみると動物のものばかりだった。
現場が大きな府道に面していることもあり、捜索は通行人の好奇の目にもさらされた。
「何かの殺人事件らしいよ」
「行方不明になっている男の子の遺体を掘っているみたい」