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【モータースポーツ】

【WGP】中上、快進撃の理由にタイヤマネジメント 後半戦3連続2位〜もちが良くなり終盤まで粘り

2013年9月5日 8時43分

富沢さんへ初勝利を

タイヤの扱いがうまくなり3戦連続2位の中上(カメラ=遠藤智)

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 ロードレース世界選手権(WGP)のモト2クラスに参戦している中上貴晶(21)=カレックス=が、夏休み明けの第10戦インディアナポリスGP(8月18日決勝)、第11戦チェコGP(同25日)、第12戦イギリスGP(9月1日決勝)で3戦連続2位の快進撃を見せている。次戦サンマリノGP(15日決勝)はチームの本拠地イタリア・ミサノで行われるが、そこは親友だった富沢祥也さんが2010年に亡くなった特別な場所。大切なGPで待望の初優勝に挑む中上が、後半戦に急成長した秘密をひもといた。

     ◇     ◇     ◇

 後半戦開幕から3戦連続フロントローで2回のPPを奪い、3戦連続2位の中上貴晶。ここ3戦の獲得ポイント数はモト2でNo.1の結果を残している。これはランク首位のS・レディング、同2位のP・エスパルガロ、同3位のE・ラバットのチャンピオン争いが厳しさを増し、「僕にはチャンピオン争いは関係ない。とにかく今は勝ちたい。初優勝に向けて全力を尽くすだけ」という立場の中上が伸び伸び戦えていることも大きいだろう。

 しかし、勝てない。インディアナポリスでは好スタートからレースの大半をリードするも、終盤ラバットにかわされて2位。ただし「今まではトップを走ってもレース中盤ぐらいで抜かれていたが、今回はラスト3周まで走れた。もう少しだった」とレース展開に変化が見えてきた。続くチェコGPでは4台のし烈なトップグループ戦いの中での2位。終わったばかりのイギリスGPでは優勝したレディング、3位のT・ルティと何度も抜き合いを演じた末の2位だった。

 これまでの中上は先行するも、抜かれたら終わり。粘り強さに欠けるレースが多かった。その原因は、後半までタイヤを上手にマネジメントできなかったことだ。が、ここ数戦はタイヤを終盤までもたせられるセットアップ(車体調整)ができるようになったことに加え、チェコから投入されたダンロップのニュータイヤが耐久性に優れ、中上の「タイヤがもてば速い」走り方をサポートしてくれるようになったのだ。

 そういう意味では、前戦イギリスは優勝する最大のチャンスだったが、母国GPに闘志満々のレディングに競り負けた。わずかな気力の差が結果に表れたのだ。そのことは中上も十分に分かっており、「次はチームのホームGPなので絶対に勝ちたい」とレース後に誓っていた。

 そして、もうひとつ、サンマリノGPには特別な思いがある。親友でライバルだった富沢祥也さんが3年前に事故死したサーキットなのだ。昨年は「祥也のためにも絶対表彰台に立ちたい。優勝したい」と挑んだが、予選4番手から決勝は11位。しかし、今年は何もかもが違う。初優勝できる準備が整い、その力も備えている。「祥也の分まで走りたい。そして、勝ちたい」という思いを力に変え、イギリスではほんの少し足りなかった「勝ちたい」という思いは、だれにも負けないものになるはずだ。

 後半戦スタートでランク12位だった中上は、この3連戦で6位まで浮上。首位とは87ポイントもの大差があるが、ランク3位は射程圏だ。後半戦の結果次第ではモトGP昇格−と言われる中上。サンマリノでは今年一番の大勝負に挑むことになるだろう。(遠藤智)

 

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