蹴球探訪
5・15 J誕生20年 ラモス氏に聞く 満員の国立「幸せ感じた」(6月3日)
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【モータースポーツ】<今宮雅子のGPテラス>モンツァとティフォシと…レストラン2013年9月5日 11時46分 レッドブルのドライバーが、やっと発表になりましたね! ライコネンという選択肢が浮上すればチームが逡巡(しゅんじゅん)するのも理解できましたが…セバスチャン・ベッテルを“見出し、育てた”ことを最大の威力にするヘルムート・マルコが、育成プログラムの外から来たドライバーの環境を平穏に整えるわけもなく、キミにとってはそれがいちばんのネックであったと思います。 ダニエル・リチャルドというドライバーの印象的なところは、まず笑顔。そしてその笑顔のまま、ものすごく“いいヤツ”であること。熾烈(しれつ)な世界を、こんなに温厚な性格で生き抜いていけるのかと心配になったこともありましたが「パドックでナイスガイだと思われてることは自分でもわかってるよ。でも、コース上の僕はそれほどお人よしじゃない」という答えが返ってきたのは、HRT時代。当時から「コース上のポジション取りと、攻撃と守りのバランス」を自らの課題として、トロロッソに進んでからは驚くほど、F1におけるレーススキルを向上してきました。失敗から目を背けることなく、むしろ糧にして多くを学んでいく能力を持った、心の強いドライバーだと思います。 市街地コースが大好きだという彼、鈴鹿は「えっと…」と頭のなかで数えた後「ベスト3のひとつだね」と言いました。でも「そういえば、あなたのファンが…」と尋ねようとしたところ「あーっ、そうそう。お客さんを含めて考えたら、鈴鹿は間違いなく世界一!」と、速攻で返ってきました。「レースが終わった後、グランドスタンドに集まったファンがもう一度レース映像を見ている光景に感動した。まるで、いままさに、目の前でレースが行われてるみたいで、他では一度も経験したことがない光景だった。みんな心からF1を楽しんで、僕らをサポートしてくれているんだと感じた」 先輩マーク・ウェーバーと違って情熱的な部分も隠さないリチャルドには、お父さんの故郷イタリアと、大陸的なオージーの性格がバランスよく交ざっているように思います。 さて、イタリア――フェラーリにとっては、もっとも重点を置くレースであるのと同時、選手権の流れの上でも今年最大のグランプリになります。シーズン中でも異例の、他より20%以上ダウンフォースが小さな仕様が投入されるモンツァ。340km/hを超える最高速から一気に減速する1コーナーも見どころですが、レズモやアスカリ、パラボリカは低ダウンフォース仕様ゆえにコントロールが難しく(高速なのにクルマが滑ります)、ドライバーたちのコーナリング能力にも注目です。 公園の中にある“アウトドローモ”、自由席ではピクニックに来たような家族もたくさん見かけます。お弁当を食べたり、子供を遊ばせたり、イタリアらしくみんなで話し続けたり…そんな彼らが一様に動きを止め、コースに注目するのはフェラーリが走り始めた瞬間。お父さんは走り回っていた子供の腰に手を回し、金網の近くまでつれて行き“ちゃんと見なさい”と促します。前後が日常的なだけに、この“聖なる空気”は印象的! こんなふうに育っているのだから、イタリアの子供たちがフェラーリの赤を見た途端に姿勢を正すのも理解できます。 カトリックの国において、フェラーリのドライバーが隣のホテルに宿泊しているとわかると、教会ですら日曜朝の礼拝を告げる鐘を鳴らさないというエピソードもありました――もう、キリスト教に対するのと同じくらいの信仰が、フェラーリに対しても存在するのがイタリアです。古くはエンツォ・フェラーリへの崇拝がもとになっていたでしょうし、偉大な“エンジニア”が残した神話のようなエピソードがフェラーリを神格化したのだと思いますが…いまの小さなファンにとって、フェラーリを応援するのは呼吸するように自然なことなのかもしれません。 世界のサーキットには、いろんなドライバーやチームを応援するファンが集まります。贔屓(ひいき)が違っても、スタンドで一緒になれば寛大に、友達のように接することができるのがF1のいいところ。でも、モンツァだけはフェラーリ以外のファンにお薦めできません。けっしてイタリアのファンの心が狭いからではなく、フェラーリを応援しないことには、このグランプリの本当の楽しさを味わうことができないから――。 泥棒は多いし、約束通りに事は進まないし、日本と比べて欠点も多い国ですが、ティフォシを見るたび軽いジェラシーを感じます。日本に足りないのは、フェラーリのような存在なのだと…毎年、オリンピックやワールドカップのテンションで、スクーデリアに声援を送ることができるんですから(!) レストランでも必ずと言っていいほど「フェラーリ、調子はどう?」というふうに尋ねられますが…そうそう、偶然入ったお店でも必ずおいしいのも、イタリアの魅力。食べ物を大切にする国は、神経が和らぎます。閉店間際のお店に駆け込んで「まだ食事できます?」とお願いすることもよくあるのですが、少し考えたような素振りで、仕方がないなぁという風に「いいよ」と言ってもらえるのもこの国の常。それで、遅くまで仕事をさせては申し訳ないと急いでいると…「ゆっくりしていきなさい」というふうに、おじさんが食後のグラッパまでサービスしてくれるのもイタリア。総合すると、とてもいい国です。 PR情報
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