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地方
知事選終盤 飛び地・五霞町民の反応は… 茨城
■関心なし 生活圏は「幸手、久喜」
■関心あり 埼玉編入、働きかけを
8日に投開票が行われる知事選は、すでに終盤を迎えた。東日本大震災からの復旧・復興や東海第2原発(東海村)の再稼働問題などをテーマに、6期目を目指す現職の橋本昌氏(67)と新人の田中重博氏(66)が激しい舌戦を繰り広げているが、依然として盛り上がりに欠けている。“県西に県政なし”と揶揄(やゆ)される県西地区の中でも、とりわけ茨城との関わりが薄いとされる五霞町で有権者の声を聞いた。(篠崎理)
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「県境の町は『あそこは茨城じゃない』といわれるが、五霞はまさにその通り」。町役場前の現金自動預払機(ATM)コーナーから出てきた元会社員の男性(60)はこう漏らす。
県西南部の同町は利根川の南側にあり、県内の他市町村とを結ぶ道路は国道4号パイパスだけ。同バイパスは昭和56年に有料道路として建設され、平成13年に無料になるまでは、通行料金を払わないと県内の他自治体へ行けない“飛び地”だった。
このため、買い物や仕事などの生活圏は県内よりも、隣接する埼玉県幸手市や久喜市との関わりが深い。
町内に常陽銀行や筑波銀行の支店はなく、さいたま市に本店がある武蔵野銀行がある。町の指定金融機関も男性が現金を引き出したのも武蔵野銀行だ。
男性は「ここは“埼玉県五霞町”なんだよ。茨城県知事選に関心はない」。
町役場から出てきた主婦(77)は「買い物は幸手か久喜。2人の息子も、3人の孫も埼玉の県立高へ行ったし、職場も埼玉か東京。茨城県民の意識はほとんどない」という。
町教育委員会によると、24年度に町内の中学校を卒業した85人のうち、66人が埼玉の県立高へ進学し、茨城の県立高への進学は4人だけ。町内を通るバスは町役場と東武日光線幸手駅を結ぶ路線しかない。町から県内の他自治体へ向かうのに公共交通機関を利用する場合、必ず埼玉県を経由しなければならず、通学に不便なためだ。
閑静な住宅が並ぶ同町原宿台。幸手駅や南栗橋駅を利用して埼玉や東京方面への通勤者が多い。都内に通勤する会社員の男性(45)は「職場で聞かれたら、説明が面倒くさいから『自宅は埼玉の幸手』と言っている」と話す。
男性は知事選への関心があるという。新しい知事にどんなことを期待するのかを尋ねると、「平成の大合併のとき、五霞と幸手との合併話があったが、幸手側の都合でダメになってしまった。新しい知事は五霞が埼玉県に入れるよう埼玉県知事に働きかけてほしい」と話していた。
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