【動画】東京五輪、質問は原発ばかり=古田大輔撮影 |
【ブエノスアイレス=阿久津篤史、中村真理、平井隆介】東京、マドリード、イスタンブール(トルコ)が争う2020年夏季五輪の開催地は7日(日本時間8日未明)、ブエノスアイレスでの国際オリンピック委員会(IOC)総会で、IOC委員約100人の投票で決まる。東京電力福島第一原発の汚染水漏れ事故が、焦点になっている。
汚染水説明理解されず特集「東京五輪招致」5日朝、東京招致委の記者会見に日本を代表する新旧の選手たちが並んだ。事故についての最初の質問は元レスリング選手の馳浩衆院議員が答えたが、その後、司会者が「関連の質問がある人は後ほど広報担当者まで来て下さい」と質問を封じる作戦に出た。
24時間前、東京が現地で初めて開いた会見では海外記者から事故への質問が相次ぎ、竹田恒和理事長が「福島と東京は250キロ離れている」などと説明に追われた。東京の最大の売りは「安心・安全」。事故が、その主張を根底から揺るがしかねない流れだ。
質問の口火を切った、IOC委員の多くが読む五輪専門サイト「インサイド・ザ・ゲームズ」の英国人記者ダンカン・マッケイ氏は「東京の答えはいつも同じ。(福島との距離)250キロというのはないに等しい距離。委員を説得できるとは思えない」と語った。
台湾の呉経国IOC委員は「五輪があるのは7年後」と理解を示しつつも、「国のトップが積極的に説明する必要はある」と指摘する。招致関係者も「竹田さんがいくら言っても、IOC委員に信用されない」。手を打ちあぐねる。