地下水に到達か 汚染水対策に影響も9月6日 5時9分
東京電力福島第一原子力発電所でタンクの汚染水が漏れた問題で、漏れた場所の近くに掘った観測用の井戸の地下水から、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す放射性物質が高い値で検出されました。
漏れ出した汚染水が地下水に到達したおそれがあり、汚染が広がれば今後の汚染水対策の見直しを迫られる可能性があります。
福島第一原発では、先月、4号機の山側にあるタンクから、高濃度の放射性物質を含む汚染水300トン余りが漏れ、一部が海につながる側溝を通じて、原発の専用港の外の海に流出したおそれがあります。
東京電力で汚染の広がりを調べていますが、タンクから10メートル余り南側に新たに掘られた井戸で4日に採取された水から、ストロンチウムなどのベータ線という種類の放射線を出す放射性物質が、1リットル当たり650ベクレルという値で検出されました。
東京電力は、通常は検出されない高い値で、漏れ出した汚染水が地下水にまで到達したおそれがあるとみてさらに調べることにしています。
今回漏れた場所から100メートル余りの海側には、汚染水が増えないように、建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」という対策に使う井戸があり、汚染が広がれば見直しを迫られる可能性があります。
地下水に詳しい産業技術総合研究所の丸井敦尚総括研究主幹は「現時点で地下水バイパスの井戸からは、今回の放射性物質は検出されていないとはいえ、その上流側の地下水の汚染は、今後、地下水バイパスの対策に影響を与えかねない。汚染水が漏れた周辺で土の回収を急ぐとともに、地下水の観測を強化し、ほかのタンクについても汚染水が漏れ出さないよう、何重にも対策する必要がある」と話しています。
規制庁「東京電力は漏えい原因特定を」
汚染水が漏れたタンクの周辺の井戸水から放射性物質が検出されたことについて、原子力規制庁は「漏れた汚染水が地下水に達しているのではないかと推測していたが、それが裏付けられた格好だ。東京電力には、周辺の地下水を調べて汚染の広がる範囲を把握し、漏えいの原因を特定するよう指示しているので、しっかり対応してほしい」と話しています。
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