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事件
【婚外子規定 違憲】迫られる民法規定改正
2013.9.5 07:30
婚外子の遺産相続規定を「違憲」と判断した最高裁決定は、家族観の多様化などに伴い「個人の尊重がより明確に認識されてきた」ことを重視、出生で線引きする規定の合理性は失われたと結論づけた。平成7年以降「合憲」判断を貫いてきた最高裁が事実上の判断見直しに踏み切った形だ。
規定は110年以上にわたって民法の中に残されてきたが「生まれる環境を選べない子供にペナルティーを科すものだ」との批判は根強く、国連からも度重なる勧告を受けてきた。最高裁の判断でも常に反対意見が付され、決定も「合憲の結論を辛うじて維持してきたもの」と表現している。
規定撤廃を求める人たちには、民法が格差を認めることが「婚外子への社会的差別の元凶となってきた」との思いがある。婚外子の男性も弁論で「大法廷が再び合憲と判断すれば、国民に最も身近な法律である民法に、規定が永遠に残り続けることになる」と、最高裁に“決断”を迫った。
相続の同等化はたびたび議論となりながら、是正が見送られてきた。法制審議会の答申は17年もたなざらしにされている。「違憲」と判断された以上、速やかに法改正に着手すべきだ。
決定は「法律婚の尊重」を否定したわけではない。現行規定でも、財産が家屋だけの場合、残された配偶者が遺産分割で住まいを失うといった事態は生じ得る。改正にあたっては配偶者の居住権保護などを含めた議論が求められている。(滝口亜希)
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