産経新聞 9月4日(水)7時55分配信
■「駅南口の新シンボル」に賛否
1月末の閉店後、複合商業施設としてのリニューアルオープンに向けて地権者らで調整していた旧西武沼津店新館(沼津市大手町)が、パチンコ店などの娯楽施設や物販、飲食店を含む商業ビルとして今年度内に開業する見通しとなった。「人のにぎわいを作るのは確実」とリニューアルオープンを評価する声の一方で、「沼津のブランドイメージを作ってきた西武とのギャップは大きい」とパチンコ店を含む開業に対する懸念も聞かれている。
◆1階部分にはカフェ
旧新館を複合商業施設としてリニューアルオープンさせることを8月30日に発表した浜友商事(浜松市中区)によれば、新しい商業施設は、外観などはほぼそのまま利用し、地下2階地上8階、延べ床面積約1万2千平方メートル。地下1階と1階の半分ほどにパチンコ店を配置し、JR沼津駅前の中心通り「さんさん通り」に面した1階部分にはカフェなどの飲食店を開店する。2階より上階は雑貨やCD、スポーツ用品などの物販や飲食テナントなどが入居予定だ。
同社担当者は「県内初出店のテナントも積極的に誘致したい」としており、詳細は10月初めまでに発表する。運営を決めた狙いについては「駅前活性化に向け、老人や女性を意識し、従来のパチンコ店のイメージと異なる人の集まるコミュニティーを作っていく」と説明した。
◆イメージダウン懸念
ただ、複合商業施設としてリニューアルオープンするものの、パチンコ店が入居することについては、批判的な意見も出ている。
3日に沼津市役所で開かれた同市議会総務経済委員会では、旧沼津西武新館の跡地利用についての質疑が相次いだ。山下富美子委員は「駅前に西武があるのがステータスだった。パチンコ店ではそのイメージが払拭されてしまうのでは」と疑問を呈し、山崎勝子委員も「市民の間では、パチンコ店が入るらしいがやめてほしいという声も出ていたようだ」と懸念を表明。間宮一寿・市産業振興部長は「駅南口のシンボルということは認識してもらっており、その姿勢に沿って活用してくれると信じている」と応じていた。
◆入居企業決定を歓迎
地元には懸念の声も強いが、百貨店業界に詳しい船井総研の岩崎剛幸上席コンサルタントは「にぎわいを作るという役割については娯楽施設と物販を合わせた施設は最もうまくいく」と評価。「百貨店撤退後に跡地利用が決まらない地方都市もあり、入る企業が決まったことをプラスに考えるべきだ」と話す。沼津商工会議所も「撤退から1年かからずに入居する企業が決まったのは喜ばしい」と、“シャッター通り”とならなかったことを前向きにとらえている。
最終更新:9月4日(水)23時0分