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婚外子差別―遅すぎた救済のつけ

両親が結婚していたかどうかで子どもの相続分に差をつける民法の規定は、法の下の平等を定めた憲法に違反する。最高裁大法廷がようやく判断した。合憲とした[記事全文]

シリア情勢―G20は存在感を示せ

米国がシリアへの軍事介入を検討するなか、主要20カ国・地域(G20)首脳会議がロシアで開かれる。死者11万人を超え、深刻化する一方のシリア情勢に打開の方向性を見いだすべ[記事全文]

婚外子差別―遅すぎた救済のつけ

 両親が結婚していたかどうかで子どもの相続分に差をつける民法の規定は、法の下の平等を定めた憲法に違反する。

 最高裁大法廷がようやく判断した。

 合憲とした前回の大法廷決定から18年。家族のかたちが多様になった。同様の規定があった他の先進国も、とうに改めている。遅すぎた救済である。

 対象は01年の相続だ。決定は、遅くてもこの時点で、規定は違憲だったとする。

 01年以降も、婚外子がかかわる遺産分割はいくつもあった。最高裁小法廷を含む各法廷でも相続差別規定に基づいた解決がはかられてきた。

 しかし、裁判や話し合いなどですでに確定したケースには影響を与えないと、決定は明示している。当事者にとっては納得しがたいだろう。

 決定が及ぶ範囲について、法律に近い拘束力を持つ判断を最高裁が示すのは異例だ。

 婚外子の権利を保障しなければいけない一方、すでに解決した相続問題を覆すことになれば社会の混乱は大きい。苦渋の選択ではなかったか。

 改めて浮かぶのは、この問題を立法で解決しなかった国会の無責任さである。

 両親が結婚していたかどうかに責任のない子どもに不利益を与えるこの規定の問題点は、国内外から指摘されて久しい。

 そもそも戦前の民法以来の規定である。96年に法制審議会が婚外子も同様に扱う民法改正案要綱を答申していた。

 しかし、自民党などは「法律婚の保護が必要」「不倫を助長する」などと反対し、法務省は法案を出せずじまいだった。

 すぐに法改正していれば、今回の決定のように、父母の死や裁判などの時期によって、救済されるかどうかが分かれるという不条理な状況は避けられたはずである。

 最高裁の違憲判断をもって、民法の規定が自動的に変わるわけではない。担当した裁判官14人の全員一致による決定の重みをふまえ、国会は一日も早く法改正すべきだ。

 父母や祖父母の殺人(尊属殺人)をより重く処罰する刑法の規定を最高裁が違憲としたときは、法改正まで検察官が尊属殺人罪ではなく殺人罪で起訴し、判例と法律の差を埋めた。

 相続にはこうした手当てが徹底できるとは限らず、法改正の遅れは許されない。

 11年には約2万3千人の婚外子がうまれた。今回の決定を、家族それぞれのかたちを尊重しあう新たな出発点としたい。

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シリア情勢―G20は存在感を示せ

 米国がシリアへの軍事介入を検討するなか、主要20カ国・地域(G20)首脳会議がロシアで開かれる。

 死者11万人を超え、深刻化する一方のシリア情勢に打開の方向性を見いだすべく、議論を尽くしてほしい。

 米政権は、シリアのアサド政権が化学兵器で1400人以上の住民を殺害したことを、介入の根拠としている。

 一方、英政権は、議会の承認を得られず介入を断念した。米国とともに戦ったイラク戦争で、介入の大義とされた大量破壊兵器が見つからず、戦線も泥沼に陥った。英下院が退けたのは、このときの教訓が大きい。

 実際、米政権は議会の承認を得る方針に転じたものの、機密を理由に化学兵器使用の具体的な証拠を十分に示していない。アサド政権を後押ししてきたロシアや中国は「政権が化学兵器を使った証拠はない」と反論し、対立が続いている。

 化学兵器の使用が、人道上許されないのは言うまでもない。

 だが、現状では軍事介入について国際社会の納得を得られるとは言えまい。

 しかも、シリアでは反体制派が結束できず、イスラム過激派もふくめ、仲間うちの抗争が続く。周辺国の思惑も複雑に交錯している。

 米政権のいう限定的な攻撃を加えても、紛争が周辺国に拡大するなど、かえって事態の悪化につながる恐れが大きい。

 G20はほんらい経済協議の場だが、シリア情勢の混迷は中東原油のさらなる高値を招き、先進国と新興国とを問わず経済を直撃する。

 いまこそG20首脳は、これまでの対立を乗り越え、事態の打開に向けて足並みをそろえるべきである。とりわけ議長を務めるロシアのプーチン大統領の責任は大きい。

 国連は化学兵器使用の現地調査を終え、その分析に入っている。オバマ米大統領は介入の決定を急ぐのではなく、まずはその結果を待つべきだろう。

 安倍首相やドイツのメルケル首相は、国連安全保障理事会の場で中ロをふくむ合意を形成することの必要性を指摘している。その方向性は正しい。

 中ロの首脳も、米国の軍事介入の動きを批判するだけでは無責任だ。事態が少しでも好転するよう、建設的な役割を果たす必要がある。

 安倍首相は、プーチン大統領と5日に会談する。北方領土問題が中心議題だが、シリア情勢で米との協調に動くよう、強く働きかけるべきである。

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