福島第1原発の放射能汚染水問題で、福島県民3人が3日、東京電力のずさんな管理が大量の汚染水漏れにつながったとして、公害犯罪処罰法違反の容疑で、法人としての同社と広瀬直己社長ら現・旧幹部32人を福島県警に告発した。県警は「内容を検討し、受理するかどうか判断する」と話している。
告発したのは、原発事故で被ばくしたとして、東電前会長らを業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発した「福島原発告訴団」の武藤類子団長ら3人。
告発状によると、地下水が原子炉建屋地下に流れ込み、放射性物質に触れて大量の汚染水が発生。東電はそれを認識しながら抜本的な対策を取らず、毎日300トンの汚染水を海に流出させていると主張している。
武藤団長は福島県庁で記者会見し「汚染を止めなければ被害者は救われないし、世界中に広がってしまう。強制捜査により責任者を特定し、処罰すべきだ」と話した。
地下水汚染の拡大については、東電が2011年6月、1〜4号機を囲む地中の遮水壁の建設を検討しながら放置してきたことが過失に当たるとも指摘。海渡雄一弁護士は「遮水壁工事には約1000億円かかるとされ、東電は経営破綻を恐れて見送った。経済性を優先し、安全をないがしろにした行為は犯罪的だ」と批判した。
東電は「原発事故でご迷惑とご心配をお掛けし、心からおわびします。告発は承知しているが、コメントは差し控えたい」と話している。
[公害犯罪処罰法]事業活動に伴って公害を発生させる行為を処罰することにより、公害防止を図るのが目的。水俣病やイタイイタイ病など深刻な公害被害の多発を背景に、1970年に成立した。過失犯に2年以下の懲役あるいは禁錮、200万円以下の罰金を科すことを定めている。