9月4日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルが高利回り通貨に対して下落-中国サービス業拡大で
ニューヨーク外国為替市場ではドルがより高利回りな通貨に対して下落。中国の8月のサービス業指数が活動の拡大を示し、世界経済の回復兆候が強まったことが背景にある。
ドルは主要16通貨の過半数に対して下落。米連邦準備制度理事会(FRB)が4日公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、経済は7月初めから8月遅くにかけて引き続き「緩慢ないしまずまず」のペースで拡大した。オーストラリア・ドルは3日続伸。ニュージーランド(NZ)ドルも上昇した。ブルームバーグ米ドル指数 は6営業日ぶりに低下した。
野村ホールディングスの外国為替ストラテジスト、チャールズ・サンタルノー氏(ニューヨーク在勤)は電話取材で、「ドルが全般的に軟調だ」とし、「きょうの中国のサービス業統計は高リスク通貨にプラスとなり、商品価格の上昇につながる可能性がある。為替市場のセンチメントも若干リスクオンになりつつあるかもしれない」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は前日比0.3%下げて1033.04。
ドルはユーロに対して0.3%安の1ユーロ=1.3207ドル。前日は7月22日以来の高値に上昇していた。対円ではこの日0.2%上昇し、1ドル=99円74銭。円は対ユーロで0.5%下げて1ユーロ=131円73銭。
豪ドル、NZドル豪ドルは主要31通貨のうち30通貨に対して上昇。中国の非製造業購買担当者指数(PMI)やオーストラリアの国内総生産(GDP)の伸びが予想を上回ったことが手掛かり。豪ドルは1.2%高の1豪ドル=0.9173米ドル。
NZドルは主要通貨の全てに対して値上がり。こちらも中国の非製造業PMIに反応した。中国はニュージーランドにとって最大の貿易相手国。NZドルは1.4%高の1NZドル=0.7906米ドル。
ゲイン・キャピタル・グループ(ニューヨーク)のシニア為替ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は電話取材で、「中国のサービス業統計は成長およびセンチメントにとってプラスに働いている」とし、「豪ドルなど高利回り通貨には支援材料になるだろう」と続けた。
8月の中国の非製造業PMIは52.8と、前月の51.3から上昇した。同指数は50を超えれば活動の拡大を示す。
円は下落円は主要16通貨全てに対して値下がり。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト32人の調査では、日本銀行は5日、金融政策を据え置き、追加緩和は決定しないと予想されている。
この日公表されたベージュブックでは、「個人消費は自動車および住宅関連商品への力強い需要も反映し、大半の地区で増加した」と指摘。「居住用不動産分野の活動は大半の地区でまずまずの拡大が見られ、非居住用不動産の分野での需要は全般的に増加した」と記された。
ブルームバーグの調査によれば、6日発表される8月の雇用統計では非農業部門雇用者数は前月比18万人増、失業率は7.4%で変わらずと予想されている。
カナディアン・インペリアル・バンク・オブ・コマース(CIBC)の外国為替戦略の責任者、ジェレミー・ストレッチ氏(ロンドン在勤)は「全般的に見てなおドルにとって前向きな環境だ」とし、「経済データという観点からすれば、雇用統計は中でも最も重要だ。緩和縮小に大きな関心が向いていることを考えれば不思議はない」と続けた。
原題:Dollar Drops Versus High-Yield Peers on China Data; AussieRises(抜粋)
◎米国株:上昇、自動車やハイテク株が高い-上院委はシリア攻撃承認
4日の米国株 は上昇。自動車関連株やテクノロジー株の上げが目立った。米上院外交委員会はこの日シリアへの限定的な軍事攻撃を認める決議案を可決した。また米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、経済は7月初めから8月遅くにかけて引き続き「緩慢ないしまずまず」のペースで拡大した。
自動車のフォード・モーターとゼネラル・モーターズ(GM)はいずれも上昇。販売台数が予想を上回ったことが好感された。半導体のマイクロン・テクノロジーとフラッシュメモリーメーカーのサンディスクも高い。競合する世界2位の半導体メモリーメーカー、韓国のSKハイニックスが中国に保有する工場で火災が発生し、操業が一時停止となったことが材料となった。
アップルは上昇。キャンター・フィッツジェラルドがアップルの株式投資判断を買いで据え置いたほか、同社がチャイナ・モバイル(中国移動)と提携する可能性があるとの見方が手がかり。
S&P500種株価指数は前日比0.8%高の1653.08。ダウ工業株30種平均は96.91ドル(0.7%)上げて14930.87ドル。
GAMのポートフォリオマネジャー、アービン・ソー氏は、「資産運用者は現状に対してかなり強気に見ている」と述べ、「確かにシリアに関して深刻な問題はあるが、結局のところ成長は加速していると言う見方だ」と続けた。
米国株、一時上げ幅を削る上院外行委が対シリア限定攻撃を承認した後、S&P500種は一時、上げ幅を縮小する場面もあった。
ベージュブックでは、消費者は観光など旅行への支出を増やし、製造業は「緩慢なペース」で拡大したと記した。
6日には8月の米雇用統計が発表される。雇用者数は前月比で増加が見込まれており、失業率は前月と同じ7.4%が予想されている。
300ノース・キャピタルの資産運用マネジャー、ジム・ランドレス氏は、「雇用統計の内容は金融当局の決定を左右するだろう」と述べ、「当局は慎重になるだろう。住宅がこの景気回復を支える大きな基盤となっているなかで、彼らは金利の上昇は望んでいない」と続けた。
米国株をアンダーウエートシティグループはバリュエーションが「世界の他地域に比べてそれほど魅力的ではない」として米国株をアンダーウエートに引き下げた。一方、英国株と新興市場株の投資判断は引き上げた。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は4.4 %低下の15.88。VIXは年初から12%低下した。
S&P500種業種別24指数は22指数が上昇。中でも自動車株の伸び率が最大。米調査会社オートデータによると、8月の米自動車販売台数は前年同月比17%増の150万台と、2007年5月以来で最高となった。ブルームバーグがまとめたアナリスト10人の予想平均では14%増だった。フォードは3.5%高、GMは5%上昇した。
マイクロンは5.3%高。サンディスクは3.3%の上昇だった。
アップルは2.1%上昇。同社は10日にイベントを開催する。スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」新機種の発表が予想されている。ロイターによると、アップルは翌日には北京でイベントを予定しており、同社がチャイナ・モバイルとの合意を発表するとの観測が強まっている。
原題:U.S. Stocks Rise as Automakers Rally Amid Syria Vote, FedData(抜粋)
◎米国債:10年債が3日続落、ベージュブックが景気拡大に言及
米国債市場では10年債相場が3日続落。米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した地区連銀経済報告(ベージュブック)によると、経済は7月初めから8月遅くにかけて引き続き「緩慢ないしまずまず」のペースで拡大した。これを受け、金融緩和の規模が今月に縮小されるとの見方が強まった。
ベージュブックでは、消費者は観光など旅行への支出を増やし、製造業は「緩慢なペース」で拡大したと記した。連邦公開市場委員会(FOMC)の会合は17-18日に開催される。6日発表の8月の雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが加速すると予想されている。10年債のタームプレミアム(期間に伴う上乗せ利回り)は約2年ぶりの高水準となった。
BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニューヨーク在勤)は「データは弱くもなく強くもない。超緩和政策は続かないと判断するには十分だ」と発言。「市場は短期的に非常に弱気だ。非農業部門雇用者数が強い内容になれば、9月の緩和縮小が確実になるだろう」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.9%。8月22日には2011年7月29日以来の高水準となる2.93%まで上げた。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格はこの日、10/32下げて96 19/32。
タームプレミアムは0.55%と、2011年7月以来の高水準。6月18日まではマイナスで推移していた。
ベージュブックベージュブックは「個人消費は自動車および住宅関連商品への力強い需要も反映し、大半の地区で増加した」と指摘。「居住用不動産分野の活動は大半の地区でまずまずの拡大が見られ、非居住用不動産の分野での需要は全般的に増加した」と記された。
エコノミスト予想によると、8月の雇用者数は18万人増と、前月の16万2000人増から加速するとみられている。失業率は7.4%での横ばいの予想。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース氏はツイッターへの投稿で、「緩和縮小はほぼ確実だ」と指摘。国債購入の100億ドル縮小を予想した。
グロース氏が運用する「PIMCOトータル・リターン・ファンド」では、運用での損失や投資家の資金引き揚げにより、過去4カ月間に運用資産が410億ドル(約4兆800億円)減少した。これは全運用資産の14%に相当する。調査会社モーニングスターが4日、電子メールで明らかにしたところによると、8月は77億ドルの資金純流出。
利回り上昇予想ブルームバーグがまとめたアナリスト調査によれば、10年債利回りは年末に2.78%、2014年の年央までに3.06%へ上昇すると予想されている。
CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債トレーディング責任者、トム・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は「市場は緩和縮小に向けて準備を進めている。市場参加者は金融政策を見極めようとしており、市場に戻って買いを入れるのはそれからだ。不透明感が晴れるまで、参加者が市場に戻るのは難しい」と話した。
10年債利回りの相対力指数(RSI、14日間)は64に上昇。前日は61.6だった。同指数が70を上回ると利回りが反転する可能性を示唆するといわれる。
原題:Treasury 10-Year Notes Fall 3rd Day as Fed Sees EconomicGrowth(抜粋)
◎NY金:反落、2カ月ぶり大幅安-ロシアがシリア攻撃に反対
ニューヨーク金先物相場は反落。2カ月ぶりの大幅安となった。シリアを軍事攻撃するという米国の方針にロシアが反対を表明したことを背景に、逃避資産としての買いが鈍った。
ロシアのプーチン大統領はアサド政権が化学兵器を使用した決定的な証拠があれば、シリアへの軍事攻撃を承認する国連決議案を支持する可能性は否定しないと明らかにした。米上院外交委員会はオバマ大統領が求めたシリアでの軍事行動を承認する決議案について、4日に採決する。
アーチャー・フィナンシャルのシニア市場ストラテジスト、アダム・クロフェンシュタイン氏(シカゴ在勤)は電話取材で、「ロシアの反対表明により金のプレミアムがやや低下している。米国が反発に直面することが次第に明確になっている」と指摘。米金融当局による緩和縮小の時期についても「不安が残っている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比1.6%安の1オンス=1390ドルで終了。中心限月としては7月5日以来の大幅下落となった。
原題:Gold, Silver Fall Most in Two Months as Putin OpposesSyria Raid(抜粋)
◎NY原油:2週ぶり大幅安、米国の対シリア攻撃限定化に反応
ニューヨーク原油先物相場は反落。限定的なシリアへの軍事介入の是非が米国で検討される中、2週間ぶりの大幅安となった。
米上院外交委員会はこの日、限定的な武力行使を承認する決議案を可決した。オバマ政権はシリアのアサド政権が住民への攻撃に化学兵器を使用したと主張しており、この日の採決はこれに基づくシリアへの報復へ向けた最初のハードルだった。
プレステージ・エコノミクス(テキサス州オースティン)のジェイソン・シェンカー社長は「米国のシリアへの関与が一段と限定されたものになるとの憶測と、紛争がこれ以上は大きく拡大しそうにないとの見方から、原油のプレミアムが縮小している」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前日比1.31ドル(1.21%)安の1バレル=107.23ドルで終了。8月20日以来の大幅安となった。
原題:Crude Declines Most in Two Weeks as U.S. Weighs SyriaAttack(抜粋)
◎欧州株:ほぼ変わらず、米国のシリア対応に注目-ボーダフォン高い
4日の欧州株式 相場はほぼ変わらず。米国の対シリア軍事介入を承認する決議案の上院外交委員会での採決が注目されている。
通信株は総じて高く、英携帯電話サービスのボーダフォン・グループが2.2%上昇した。前日は2カ月ぶり大幅安だった。一方、アイルランドの格安航空会社、ライアンエアー・ホールディングスは約5年ぶりの大幅下落。通期利益が予想レンジを下回るとの見通しが売り材料。ドイツのテレビ局、プロジーベンSAT1メディアは5%下げた。ペルミラ・アドバイザーズとKKRが保有する持ち株会社が、プロジーベン株の売却を明らかにしたことが嫌気された。
ストックス欧州600指数 は前日比0.2%高の302.34で終了。一時は0.7%下げた。先週は米国がシリアに対し軍事行動を起こすとの懸念から、同指数は2.4%下げていた。
BGL・BNPパリバの株式ストラテジスト、ギヨーム・デュシェーヌ氏(ルクセンブルク在勤)は電話インタビューで、「シリア情勢をめぐる多くのリスクがここ数週間に存在する」と発言。「欧州のマクロ経済面での過去数年の状況は極めて悪かった。再び大きく悪化しないだろうが、横ばいにとどまるとみている。金融市場にとってこれは朗報だ」と続けた。
この日発表されたユーロ圏の4-6月(第2四半期)域内総生産(GDP、改定値)は前期比0.3%増で、速報値ならびにブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値 と一致した。
米上院外交委員会はこの日、シリアに対する行動期間を最長90日に制限し、地上部隊の投入を伴わない限定的な軍事介入を承認する決議案を採決する予定。
4日の西欧市場では18カ国中12カ国で主要株価指数が上昇した。
原題:European Stocks Little Changed as VodafoneGains; Ryanair Slumps(抜粋)
◎欧州債:イタリア債が下落、政局不安が再燃-ドイツ債ほぼ変わらず
4日の欧州債市場ではイタリア10年債が下落した。
イタリア10年債利回り は6週間ぶり高水準に接近。ベルルスコーニ元首相が自身の議員資格剥奪に関する採決の前に連立政権への支持撤回を検討する可能性があると、同国紙レプブリカが報じたことが背景にある。欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)がポルトガル向けの予防的措置を協議していると伝えられたことから、同国の10年債利回り は6週間ぶりの水準に上昇した。
ロンドン時間午後4時17分現在、イタリア10年債利回りは前日比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の4.42%。先月28日には4.48%と、7月18日以来の高水準となった。同国債(表面利率4.5%、2023年5月償還)価格はこの日、0.545下げ100.99。
マークイット・エコノミクスが発表したイタリアのサービス業景気指数 は48.8と、ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の49.9に届かなかった。同指数は50が活動拡大・縮小の分かれ目。
ドイツ10年債利回りは1.94%で、前日からほぼ変わらず。欧州中央銀行(ECB)は5日の定例政策委員会で金融政策を決定する。
英国債相場もほぼ変わらず。イングランド銀行(英中央銀行)はこの日から2日間の日程で金融政策委員会(MPC)を開く。
英10年債利回りは2.87%。前日には2.90%と、2011年8月1日以来の高水準となっていた。同国債(表面利率2.25%、2023年9月償還)価格は94.63。
原題:Italy’s Bonds Fall as Services OutputShrinks More Than Forecast(抜粋)Pound Rises to Three-Month High Versus Euro onSurge in Services(抜粋)
更新日時: 2013/09/05 06:49 JST