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國學院大學
神道文化学部

東日本大震災  千度大祓 参加報告

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2012年7月20日更新


さる平成24年7月16日(月)午後4時30分~6時30分、いわき市小名浜のアクアマリンふくしまの屋外広場を会場として、福島県神社庁いわき支部、いわき市神社総代会などで作る、いわき「大祓」の会主催による東日本大震災慰霊鎮魂ならびに復興祈願祭、ならびに千度大祓が斎行された。

この千度大祓の儀、慰霊鎮魂復興祈願祭は、昨年、7月15日の海の日に第1回を斎行しており、今回が2回目である。


今回の千度大祓は、地元福島県内を中心とする全国各地から集った神職50名に加え、本年は、本学から神道文化学部生19名、専攻科生27名(当日欠席1名)、大学院生1名を中心に、教員4名、学務補助員2名、専攻科修了生、専攻科生の知人を含めて総勢56名の参加があり、浄衣姿の神職の後で白衣白袴姿の学生が参列者200名とともにともに大祓詞十巻を奏上し、総勢300名の奏上の音が昨年3月11日に大津波が襲来した小名浜港湾へ響きわたるものとなった。
この大祓に併せ、地元住吉神社の忌火を用いた浄火にて祈願札も焼納され、千度大祓の後にはアクアマリンふくしま水族館の協力も得て、アジを放流する放生の儀も行われ、慰霊鎮魂の意を捧げた。この儀式の斎行に併せて地元福島テレビのテレビ中継もあるなど、水族館の入館者らも集う夕刻の海辺において、まさに震災復興の象徴となる儀式となった。

本学からの学生参加は、本年3月に神道文化学部主催にて、東日本大震災への復興支援ボランティアに携わった神道文化学部生のボランティア体験報告会での報告を契機として、神道文化学部教員有志らで、学生が被災地の神社に関連した復興支援活動に参加できる機会を検討していたおり、いわき「大祓」の会事務局を務める山名隆史・大國魂神社(いわき市平菅波)禰宜(院友)から第2回千度大祓の参加者募集があり、これに応じたもので、学部教員有志が授業等で呼びかけたところ、専攻科生を中心に大きな反響があったため、石井研士学部長の判断により急遽、学部事業として位置づけなおして、今回の参加となったものである。


当日は、午前9時に本学をバスで出発し、途中2回の休憩の後、正午過ぎにいわき市内のアクアマリンふくしまに到着。
昼食をとった後、現地集合の学生、教員とも合流し、福島県神社庁いわき支部副支部長で國學院大學院友会福島県浜通り支部長の山名隆弘大國魂神社宮司をはじめ、院友会浜通り支部の斎藤、水野、大泉氏ら3名がをバスに同乗して戴き、バス内で学生らに直接案内しながら、小名浜漁港、江名、豊間浜、薄磯浜、塩屋埼灯台周辺などいわき市内での海岸沿いの被災状況の説明を詳細に説明戴くとともに、復興の前途が厳しい状況、周辺神社の復興の状況についても説明戴いた。
山名宮司からは周辺神社の被害の酷い状況のなかにあって、現地のある一社の神社では、現地の区長の方が鳥居などが倒壊した状況から、「神社のいち早い復興こそがまさに地元の復興の象徴となる」といち早く鳥居を奉納した事例を紹介された。
真新しく奉納された鳥居をじっと眺めている学生たちの姿が印象的であった。


その後、いわき市内の被災地でも特に被災被害の酷い地域の一つであった豊間地区を訪問。
ふるさと豊間復興協議会において、復興に尽力する豊間区区長の鈴木徳夫氏にお話を聞くことができた。
 鈴木氏からは、当時の被災状況および復興の現状について説明があったほか、復興協議会の裏手にある八坂神社についても説明があり、海辺の地元住民らがいかに神社を大切にしてきたかについてもその思いを語って戴いた。
津波で被災した豊間中学校のある薄磯浜から、塩屋埼灯台を経て、山名宮司の本務社である大國魂神社の神輿が10キロの道のりを渡御して浜降り神事を行う豊間浜へと海岸沿いを南下し、津波で流された家々の土台とまだまだ復興のなされていない現状を目の当たりにした。豊間を後にした一行は、沼ノ内地区を津波から守った松林を見つつ北上し、大國魂神社を参拝した後、小名浜のアクアマリンふくしまの会場へと戻り、受付の後、各自、白衣白袴へ改服し、慰霊・復興祈願祭の後に行われる千度大祓に神職とともに参進、祭場へ着いた後、祓詞奏上の後、大祓詞十巻を奏上した。奏上の後、放生の儀が行われ、海辺に篝火が焚かれ、夕日の落ちる景色のなかで滞りなく祭儀を終了した。


大國魂神社(延喜式内社)への参拝

改服後、バスに乗り込む前に祭儀に参加した地元神職の一人で、専攻科生の佐藤大直君の父親でもある佐藤大和・立鉾鹿島神社禰宜(福島県神社庁教化部部長)から、学生に対して「福島の現状は、昨年の大震災、原発事故以来、地震、津波、原発、風評被害という三大苦、四大苦ともいわれる現状から、今や、風評被害ではなく『風化被害』へと移行している。この『風化被害』を一掃することこそがまさに今一番大事なことである」との言葉が教員や学生らの胸に大きく響く言葉となった。その後、午後7時40分にバスに乗車し、午後11時に大学へと帰着し、無事学生らは帰宅した。



参加の学生の一人からは「昨年の震災以来、何かしたいと思っていたので、参加できてよかった。テレビなどで伝えられている現状とは別に、まだまだ復興の進んでいない現状を目の当たりにすることができたことは勿論のこと、千度大祓に参加でき、慰霊・鎮魂の心や復興の祈願をできたことが神職を志す学生として心に残った」という感想があるなど、現地へ引率した教員の側からも非常に心に残るものとなった。また当日は気温30度を越える暑さのなか、一人の熱中症、事故者も出さずに無事祭儀を終え、大学へ帰着することができたことも非常に有難いことであった。


國學院大學院友会福島県浜通り支部の支部長を務める山名宮司からは、学生に対する御礼の気持ちとして、以下の歌を頂戴した。


遥かなる時 すぎゆく中に
たまさかに 遭ひし 災禍の
かなしみは 底知れず 広がり居れば
ひたすらに 宣る大祓詞
國學の 若き 壮士ら 五十余人ぞ
打揃ひ 海に むかへり

平成二十四年七月十六日
國學院大學院友会浜通支部長 山名隆弘


最後に本学からのバス移動への手配などに配慮戴いた大学当局に御礼申し上げますとともに、現地いわき市内の被災地の案内、祭場での案内・助勢や復興に関わるお話等を頂戴した福島県神社庁いわき支部の山名隆弘大國魂神社宮司をはじめ、國學院大學院友会福島県浜通り支部の皆様方、主催のいわき「大祓」の会に対しまして心より感謝と御礼を申し上げ、本報告の結びに代えたい。
                         (文責 神道文化学部 藤本頼生専任講師)



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