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2013.08.29

特定秘密保護法案がやってくる

 秘密保全法案が秋の臨時国会の提出されることが確実となり、その内容も少しずつ明らかになってきている。

 法案の名称は「特定秘密保護法案(仮称)

 

特定秘密の範囲は、従来、(1)国の安全、(2)外交、(3)公共の安全及び秩序の維持の三分野だったが、新法案では。この(3)について、「テロ活動防止」と「安全脅威活動の防止」として、全部で四分野とされる。従来の「公共の安全及び秩序の維持」の範囲が曖昧であるとの批判をかわすための再定義だと考えられる。

 しかしながら、そのような再定義をしても、法案の危険性や問題点は何ら変わらない。
 特定秘密を漏らした公務員や、特定取得行為をした民間人への罰則については、法定刑の上限を懲役一〇年とすること、共謀独立教唆煽動も処罰対象とすること、特定取得行為については、具体的な行為として、(1)あざむき・暴行・脅迫、(2)窃取、(3)施設侵入、(4)不正アクセスが挙げられていることなどが明らかとなっている。

 基本的には、民主党政権時代の有識者報告書がベースとなってると考えられるが、その後の批判などを踏まえて、概念を明確化しようとしていると考えられる。しかしながら、ありとあらゆる秘密漏洩を幅広く処罰するとともに、重罰化を図ろうとしている本質が改めて明らかになっている。処罰範囲の曖昧さと相俟って、民間である私たち市民に対しても適用可能とすることにより、弾圧法規として活用することを狙っていることは明らかである。

 当初、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案(2013年6月に国会上程済)と一括審議が構想されていたようだが、臨時国会での成立を目指すために、本来の所管である内閣委員会とは別に、特別委員会を設置して、そこでの集中審議も検討していると伝えられている。そのため、森雅子少子化担当大臣を特定秘密保護法案の担当大臣とする方針であるという。

 与党である自民党は、2013年8月27日に、「インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクト」を開いて法案について審議した。次回の9月3日の会議で法案概要を了承し、政府は、法案についてのパブリット・コメント(意見募集)を実施するという。検討プロジェクトチームはその後も議論し、2013年9月中に細部にわたる意見交換をして法案に反映させる方針だと伝えられている。

 もっとも気になる動きとしては、報道目的の正常な取材活動を罰則から除外する方針が示されていることである。

 これは、かつて個人情報保護法案の検討段階で報道機関を対象から除外する規定を入れ、そのため、それまで強く反対していた大手マスコミの反対の力がそがれたことがあり、今回も同様の手法により、マスコミによる批判や抵抗を弱め、法案に反対する市民との間の分断を狙おうとする意図がありありである。

 いずれにしても、特定秘密保護法案は、着々と準備され、秋の臨時国会に間違いなく提出される。秋の臨時国会は2013年10月上旬に召集される予定であるが、短期決戦になることが予想される。これに対する反対運動の陣形を早急に構築することを急ぐ必要があると言わなければならない。

【Today's Back music】
 板東慧/Let's Move!
  T-SQUAREのドラムスである板東慧のソロのセカンドアルバム。今作でも明るくて元気が゛てる楽曲に溢れている。前作に負けず劣らず素敵なアルバムになっている。

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Comments

はじめまして。

ブログ「神州の泉」を主宰しております高橋と申します。

臨時国会提出が予定されています「特定秘密保護法案」に強く懸念を抱くものです。

事後承諾で大変恐縮ですが、貴ブログ記事を弊ブログにて転載させていただきました。

    高橋博彦

Posted by: ブログ「神州の泉」 高橋博彦 | 2013.08.30 at 11:11 AM

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