東京医大整形外科学
東京医大整形外科学の論文不正問題が、
今年の最初にマスコミで取りざたされたのを
覚えておられますか?
論文撤回Watchでも取り上げましたが、
問題となっていた論文のうち
雑誌社による撤回のアナウンスは
The editors and publisher would like to confirm the retraction of this paper at the request of the authors. This article was a duplication of a paper that had already appeared in, Journal of Orthopaedic Science(Springer Japan) Vol 8, No. 6, November, 2003 (DOI 10.1007/s00776-003-0722-y)
となっており、
ようするに2重投稿が撤回の理由です。
以下は2011年1月の朝日新聞の記事です。詳しく記載されています。
東京医科大学の整形外科の教授(52)が複数の英語論文について、二重投稿したり、同僚の論文に自分を筆頭筆者として加えて投稿したりしていたことが朝日新聞の調べでわかった。一部は2004年の教授選の選考で業績に挙げていた。大学側は論文2本を二重投稿と認定し、厳重注意した。日本整形外科学会も調査している。
朝日新聞の調べでは、大学側が二重投稿と認定した2本は、04年と09年に海外の専門誌などに載った論文。このほか、03〜06年に、7本の日本語論文の主要なデータを英訳して、海外誌に載せていた。こうした投稿も、二重投稿とみなす学会や科学誌も少なくない。当時、明確な基準がない雑誌でも、日本語のオリジナル論文があることを示すことを原則としていたが、7本ともその旨を明記していなかった。教授は今後、大学の助言を受けて、教室の全論文を点検、論文の修正や取り下げが必要か検討するという。
この7本の中には、15年前のデータを再使用して、海外誌に投稿した論文もあった。90年の日本整形外科学会誌と05年のアジア太平洋整形外科学会(APOA)の雑誌に載った論文で、特殊なマウスの関節を写した同じ電子顕微鏡写真10枚が使われていた。日本語の論文は90年以前に研究されているが、APOA誌には「00〜03年に行った研究」と書いていた。この教授は「『あらためて検討した』と書くつもりが、『研究を行った』との誤訳になってしまった」と説明している。
日本の雑誌に掲載された同僚の論文に、自分の名前を中心的な役割を意味する筆頭筆者として加えて、海外誌に投稿していた例も複数あった。その理由について、同僚の論文でも研究には参加していたため、と説明している。一方で、共同筆者の1人は「教授の論文投稿自体、記憶にない」と話した。共同筆者から筆頭筆者に変わっていた論文もあった。
教授に就いたのは04年4月。東京医大の教授になるには「英文論文が10本以上、5本は筆頭筆者」という条件が02年に加わった。二重投稿など問題のある論文9本のうち、3本は教授選考の評価対象だった。
教員の処分を決める大学の裁定委員会は昨年6月、論文2本を二重投稿と認定。ただし、1本について、教授が事前に雑誌に取り消しを申し出ていたことを考慮して、教授への処分は厳重注意にとどめ、非公表としていた。
教授は「英語論文はほかにも出しており、教授選のために水増ししたつもりはない。論文投稿について認識が甘かった。今後このようなことがないよう徹底したい」と話している。(杉本崇、林敦彦)