So-net無料ブログ作成
検索選択

放射線と除染_30 天然物質概論(続) [医学~臨床]

昨日から「天然物質」を利用した、体内放射性核種の除去方法の勉強中です。
主な情報ソースはこの本です。


人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



昨日の記事で、今後 放射性核種の除去に期待できる天然物質として
 1.微生物系バイオマス
 2.植物系バイオマス
 3.植物起源の生薬
 4.多糖系生体物質
について勉強しました。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-29

今日はその続きです。


5.フラボノイド系生体物質
植物が広く含有している、
フラボノイド系生体物質であるクエルセチンやモリンなどの生体色素は
ウランなどに対する高い濃縮能を認めます。
やはりキレート化合物を形成する効果が高いためと考えられています。

その他にも・・


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

放射線と除染_29 天然物質概論 [医学~臨床]

この本を中心に、内部被曝した際の放射性核種除去方法について勉強しています。


人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


今日から「天然物質」を利用した、体内放射性核種の除去方法の勉強です。
現時点で実際に臨床応用されている訳ではなく、今後期待できるものとして記載されています。

細菌などの微生物や、タンパク・多糖類・ポリフェノールなどの生体物質の中には
放射性核種に対して強い親和性を示すものがあります。
その特徴から、キレート効果や核種濃縮能をもっているものがあり
排泄促進剤として利用できるものがいくつかあります。


1.微生物系バイオマス
細菌類の一部が優れたウラン濃縮能を持っていますし、トリウム濃縮能も高いため
ウラン系・トリウム系除去剤として期待できます。

キノコの中にも優れた濃縮能を持つものが分かっていて
おおむね全てが亜鉛やマンガンに高い濃縮能を持ちますが
一部にはセシウム濃縮能も高いキノコがあるそうです。

微細藻類(珪藻や緑藻など)はテクネシウムの濃縮能が高い事が示されています。


2.植物系バイオマス
タマネギの外皮、柑橘類の果皮や栗の皮などは
優れたウラン濃縮能を持つ事が分かっています。

これらの皮には、ポリフェノール系化合物が豊富で
タマネギ外皮や柑橘類果皮にはクエルセチンなどのフラボノイド系化合物が、
栗の皮にはタンニン系化合物が含まれているそうです。
それらがウラン濃縮能に関与しているのだろうと考えられています。

バイオマス以外の、身近なものにも・・・


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

放射線と除染_28 代謝の攪乱 I(続) [医学~臨床]

体内に取り込んでしまった放射性核種を除去する方法のうち
「代謝の攪乱」を利用したヨウ素Iの除去方法を勉強しています。

1,抗甲状腺剤 が、ヨウ素の有機化を阻害する事と
2,1価アニオン に、甲状腺への摂取抑制や甲状腺からの放出促進効果があることを
昨日勉強しました。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-27

今日はその他の方法についてです。


3,甲状腺刺激ホルモン
(私の独断で言えば、これこそ代謝の攪乱を利用した典型的な方法だと思うのですが・・)
甲状腺から甲状腺ホルモンを分泌させる事で、取り込まれたヨウ素を除去する方法です。

甲状腺をふくむ内分泌器官は、ホルモンを分泌する際に
主にその上位ホルモンによる調節を受けています。
甲状腺の場合には、脳下垂体前葉から分泌される甲状腺刺激ホルモン※1によって調節されています。
※1 TSH; Thyroid stimulating hormone

TSHの分泌が多いと、甲状腺は刺激されて甲状腺ホルモンの分泌を旺盛にしますし
TSHの分泌が少ないと抑制されます。

ヨウ素I は甲状腺ホルモンの材料となりますので
TSHを分泌させて、甲状腺ホルモンとして放射性ヨウ素を放出させ、除去しようというわけです。

ただし、TSHの分泌は血液中の甲状腺ホルモンの多少によってフィードバックを受けています。
放射性ヨウ素を含む甲状腺ホルモンが血液中に多くなると
生来のTSH分泌は抑制されてしまうという点に注意が必要です。

また、TSHもまた視床下部から分泌される甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン※2によって
さらに上位から調節されています。
※2 TRH; Thyrotropin releasing hormone

有機化された放射性ヨウ素の除去


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

放射線と除染_27 代謝の攪乱 I [医学~臨床]

体内に取り込んでしまった放射性核種を除去する方法のうち
「代謝の攪乱」を利用した方法を勉強しています。
今日はヨウ素Iの除去方法です。

ヨウ素の除去を理解する上でもやはり、体内動態の理解が不可欠です。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-24

ヨウ素はほとんどが甲状腺に取り込まれますが
その後すみやかに有機化されて甲状腺ホルモンに組みこまれます。
そのため、摂取後6時間以上が経過すると、
希釈のためにヨウ素剤を投与しても抑制効果がごく薄くなります。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-05

そのため、有機化する段階を阻害とするのに加えて、
有機化した放射性ヨウ素を甲状腺から放出促進させるには
他の方法が必要になるわけです。

代謝の攪乱を利用した、各種方法が有効です


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

放射線と除染_26 代謝の攪乱 Sr [医学~臨床]

放射性核種を除去する方法のうち、「代謝の攪乱」を勉強しています。
昨日の総論に続き、http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-25
今日はストロンチウムSrの除去方法で代謝の攪乱を利用した方法についてです。

以前、放射性核種の体内動態を勉強した時に、
Srがアルカリ土類金属に属し、カルシウムと似た性質を持つ事を記事にしました。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-26

代謝の攪乱でも、そのカルシウム代謝を利用します。

結果から言えば、カルシウム含有・低リン食を与えた場合に
尿への放射性ストロンチウム排泄が促進されます。
食事内のカルシウムは炭酸塩・硫酸塩・酪酸塩のいずれでも良いようです。

正常食・低カルシウムCa食・低リンP食・低Ca低P高Srで比較した際に
ジンからの排泄のされやすさが、低P食で最も高かったそうです。

メカニズムとしては、低P食群では消化管→血液→腎→尿の経路を流れる
カルシウム量が著増し、そのカルシウムが90 Sr を巻き込んで排泄されるようです。
そのため、消化管から吸収されるCaが不足していると
このSr の高排泄効果は望めないため、食事中にCaが十分量含まれている事も大切だそうです。

ただし、このCa含有・低P食では、骨への沈着を防ぐ効果はあるものの
骨に沈着してしまった90 Sr の離脱度は高めなかったようです。


短期間ならもっと良い方法も・・・


nice!(3)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

放射線と除染_25~代謝の攪乱 [医学~臨床]

放射性核種を除去する方法には、様々な方法がありますが
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-04
今日から「代謝の攪乱」を勉強します。
『たいしゃのかくらん』と読みます。

余談ですが、もうすぐこの勉強も終わりが見えてきましたので、
今回の震災・津波が原因の、原発からの放射性物質拡散も
トラブルなく終わりが見える事を願っています。

攪乱物質といえば、環境ホルモンが有名ですが
これは内分泌攪乱物質の一部を指す俗称であり、
おもに生体にホルモン様作用をおこしたり
逆にホルモン作用を阻害する物質の事をいいます。

環境ホルモンと呼ばれるものは
外因性の内分泌攪乱化学物質である事が多く、有名なものとしては
農薬のDDT;ジクロロジフェニルトリクロロエタンや
広くはシックハウスシンドロームの原因となるホルムアルデヒドなどがあります。

放射性核種の除去では・・


nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び

ダッチ料理~スコーン [趣味]

ダッチで作りたいメニューといえば、私にはやはりオーブン料理です。
簡単にスコーンが作れるそうですので、レシピをメモしておきます。

なかなか外でダッチを使う機会がなく、上火ヒーターもないので
しばらくは「いつか作りたいレシピ」になっちゃうなあ・・

このレシピは、スコーンならでは(!?)の、発酵時間いらずなので
すぐに作れるところが良さそうです(^^)

アウトドアで焼きスイーツを作るときには、火をおこすタイミングが重要ですが
(発酵時間がやたら長くなったり、炭火の勢いがなくなったり・・・><)
このスコーンは食材を手にするより前に、炭火をおこしてしまって良いそうです。

混ぜて、成形して、焼くだけ!


南三陸町の菅野武先生 [雑感]

今日の記事は、昨日のニュースから。

アメリカ、タイム誌が「2011年の最も影響力のある100人」に
南三陸町で震災・津波の当時、公立志津川病院で沢山の患者を救った
菅野管野武先生を選出したとのニュースが、様々なメディアで報じられました。

http://www.time.com/time/specials/packages/article/0,28804,2066367_2066369_2066313,00.html

私が災害派遣で南三陸町に行った時には
菅野管野先生は朝の医療ミーティングの司会をしておられ、
ベイサイドアリーナの医療統括本部では
本部長である西澤先生や後輩と思われる才川先生とともに、コマンド業務をしておられました。

当時の南三陸町の医療は、西澤先生曰く「震災前を考えれば、夢の様に」
たくさんの医療組織から、たくさんの医療者が入っていました。
3日~2週間でメンバーが交代する災害医療の状況にあっても、
南三陸町は彼らのリーダーシップにより
かなり統制の取れた状態にあった様に思います。

その一方で、早期から長期的展望を考えておられ
災害医療からの脱却のために、公立志津川病院による診療所の開設を画策されており
私が活動を終了した日に、オープンを迎えておられました。

タイム誌の記事を、私なりに翻訳しました


nice!(3)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

方言の良さ [雑感]

しばらく真面目に勉強し続けて、ちょっと息切れしました(^^;
放射線シリーズは来週から再開する事にして、今日はちょっと雑談です。

外来で、初診の4歳児の診察をしました。
発達障害を含めた特性のある子供には、特性に合わせた対応をします。
その子には、見通しを伝えるのが良さそうでした。

「体操が終わったら、車で遊びます」

上手に体操(身体診察)を終わらせ、その子が車のおもちゃで遊んでいる間に
お母さんと診察所見や特性などのお話をして、次の診察予定日を決めた後
今度は診察室から出る見通しを伝えました。

「車をあっちまで走らせたら、おしまいにします」

車のおもちゃを所定の所まで走らせたので、診察終了を告げたところ・・

その子が大きな声で言いました


nice!(3)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

放射線と除染_24~吸着でのストロンチウム除去 [医学~臨床]

放射性核種の内部被曝が起こった時に、体内からの除去する方法のうち
「吸着」を用いた方法を勉強しています。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-19から
今日が吸着について勉強する最後の日です。

情報ソースはこの本からで、プルトニウムストロンチウムの吸着による除去方法についてです。


人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



ところで、現在のところ放射性ストロンチウム摂取事故の場合などに
最も推奨されている除去剤は、アルギン酸ナトリウムで、次いでキトサンです。

これらについては、後日(「天然素材」の記事で)勉強しますが
これらの物質が除去効果を発揮するメカニズムには
吸着・錯体形成などの現象が組み合わさっていると考えられています。

他の吸着剤についてはこちら


nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:資格・学び