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放射線と除染_38~主な内部被曝事故 [医学~臨床]

過去の重大な原子力関連事故などについて勉強して
このシリーズを終わりにしたいと思います。
情報ソースは、このシリーズ通じて、この本でした。
難しい内容も多かったですが、大変勉強になりました。

人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



1.ビキニ環礁第5福竜丸事件
1954年3月1日アメリカがビキニ環礁で行った水爆実験によって
第5福竜丸の乗組員23人が、珊瑚の粉塵に混じった放射性物質による
汚染・被曝した事故。無線長が半年後に死亡。
外部被曝に対して剃髪や剃毛・爪切りと毎日石鹸で全身洗浄をしたのに加え
内部被曝に対してはNa-EDTAが除染に使われた。


2.肝臓の金コロイドによるアイソトープ診断時の事故
1968年、肝腫大の女性に対してスキャン用の放射性の198 Au コロイドが
単位を間違えて大量に投与された事故。
骨髄抑制がおこり、輸血や無菌室管理なども行われたが
頭蓋内出血で約2ヵ月後に死亡した。


3.チェルノブイリ原発事故
1986年4月26日、旧ソ連ウクライナ共和国のチェルノブイリ原発4号炉で起きた事故。
大量の放射性物質が環境中に放出された。
ポーランドでは4月27・28日に空中放射性物質値増加を認め
放射性ヨウ素は通常値の3倍にまで増加した。
政府(保険省)主導でヨウ化カリウムKIの投与が1回のみ行われた。


4.ゴイアニアのセシウム汚染事故
1987年9月13日、ブラジルのゴイアニア市で
病院移転のため廃棄された放射線源の盗難後に内容物がばらまかれ
137Cs による当事者・家族・友人・一般市民の計249人が被曝した。
骨髄抑制が起こった患者に対してGM-FCS(白血球を増やす因子とされる物質)治療が行われた。
プルシアンブルーによる治療も行われ、効果を上げたとされている。
4人が出血や感染などの併発によって死亡した。


さて、このシリーズを終えるにあたって、感想を記しておきたいと思います。

放射性物質の事故による内部被曝への対応法は
ほとんどの医者にとって「経験のない治療」をする事になるはずです。

治療方針を決めていく上で、自分はもちろん周囲の経験もない方法で
しかも明確な標準的治療法が確立していない場合には
大変なプレッシャーがかかるものです。

確率的に考えればおそらく、自分が治療する機会はなのではないかと思っていますが
いま自分に出来る事として、この本で勉強でき
ブログに記事として勉強した事を記しておけた事は
それなりに意味のある時間の使い方だった様に思います。

このシリーズが長編(?)になると覚悟した時には
終わる頃には収束しているだろうと思っていた福島第一原発事故でしたが
残念ながら収束にはまだ時間がかかりそうです。

マスメディアを通しての情報しかありませんが
作業員の作業・生活環境や指示体系など、充分な改善措置が取られて
なるべく早く安全宣言が出る事を祈っています。

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