放射線と除染_31 天然物質キトサン Sr [医学~臨床]
「天然物質」を利用した、体内放射性核種の除去方法のなかで
現実的と考えられる、ストロンチウムSrの除去について勉強しています。
昨日はアルギン酸についてでした。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-05-02
昨日の続きで、今日はキトサンについて勉強します。
今回も主な情報ソースはこの本になります。
2.キトサン
キチン・キトサンは、甲殻類の外殻成分としてテレビCMなどでもよく目にします。
キチンは甲殻類や昆虫類の外殻意外にも、キノコや細菌細胞壁などに含まれている
天然の塩基性多糖類で、セルロースに似た構造をしています。
キチンを脱カルシウム・除タンパク・脱アセチル化したのがキトサンです。
生体適合性に優れ、防カビ・抗菌作用があり、食物繊維として利用でき、
金属吸着能があり、免疫賦活能を持ち、ほとんど無毒で生物分解されるなど
メリットが大きい事から、創傷被覆剤や化粧品、凝集剤や担体などに応用されています。
キトサンは水やアルカリには不溶性で、酢酸やギ酸など希有機酸には溶けますが、
低分子化すると水溶性になります。
ラットの実験で、キトサンを投与した後で 85 Sr を経口投与すると
キトサンを投与していないものより明らかに体内残留率が低くなっていたそうです。
またその排泄促進効果は低分子量のキトサンで大きい傾向があったようです。
さらに、キトサンを連続投与すると85 Sr の排泄促進はより強まり
キトサンには85 Sr の再吸収阻害効果があると推測されています。
キトサンはアルギン酸と同様、
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-05-02
前もって摂取しておく事で、著しい体内残留率低下(=内部被曝低減化)をはかる事も出来ます。
キトサンが放射性Srを吸着する仕組みは明らかでないものの
体内共存物質の影響を強く受けているようで、
おそらくキトサンは消化管内でリン酸塩を形成して、これとSrが不溶性塩を形成し
体外に排泄させている可能性が示唆されています。
アルギン酸やキトサンに共通するのは
・地球上に大量に存在し、入手しやすく安価
・食品への添加が容易
・毒性がほとんどなく生物分解される
といった点です。
被曝が長期にわたる場合には、食品そのものや食品へ添加できるものとして
日常的に摂取が可能なものがのぞましく
排泄促進効果があれば最も好ましいでしょうから、
他の天然由来の放射性核種除去剤の研究開発と臨床応用も
大いに期待されています。
現実的と考えられる、ストロンチウムSrの除去について勉強しています。
昨日はアルギン酸についてでした。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-05-02
昨日の続きで、今日はキトサンについて勉強します。
今回も主な情報ソースはこの本になります。
人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
2.キトサン
キチン・キトサンは、甲殻類の外殻成分としてテレビCMなどでもよく目にします。
キチンは甲殻類や昆虫類の外殻意外にも、キノコや細菌細胞壁などに含まれている
天然の塩基性多糖類で、セルロースに似た構造をしています。
キチンを脱カルシウム・除タンパク・脱アセチル化したのがキトサンです。
生体適合性に優れ、防カビ・抗菌作用があり、食物繊維として利用でき、
金属吸着能があり、免疫賦活能を持ち、ほとんど無毒で生物分解されるなど
メリットが大きい事から、創傷被覆剤や化粧品、凝集剤や担体などに応用されています。
キトサンは水やアルカリには不溶性で、酢酸やギ酸など希有機酸には溶けますが、
低分子化すると水溶性になります。
ラットの実験で、キトサンを投与した後で 85 Sr を経口投与すると
キトサンを投与していないものより明らかに体内残留率が低くなっていたそうです。
またその排泄促進効果は低分子量のキトサンで大きい傾向があったようです。
さらに、キトサンを連続投与すると85 Sr の排泄促進はより強まり
キトサンには85 Sr の再吸収阻害効果があると推測されています。
キトサンはアルギン酸と同様、
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-05-02
前もって摂取しておく事で、著しい体内残留率低下(=内部被曝低減化)をはかる事も出来ます。
キトサンが放射性Srを吸着する仕組みは明らかでないものの
体内共存物質の影響を強く受けているようで、
おそらくキトサンは消化管内でリン酸塩を形成して、これとSrが不溶性塩を形成し
体外に排泄させている可能性が示唆されています。
アルギン酸やキトサンに共通するのは
・地球上に大量に存在し、入手しやすく安価
・食品への添加が容易
・毒性がほとんどなく生物分解される
といった点です。
被曝が長期にわたる場合には、食品そのものや食品へ添加できるものとして
日常的に摂取が可能なものがのぞましく
排泄促進効果があれば最も好ましいでしょうから、
他の天然由来の放射性核種除去剤の研究開発と臨床応用も
大いに期待されています。
2011-05-03 07:00
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はじめまして
関東在住で、原発事故からブログを見ているものです。
先生のブログの放射性物質の除去に関する記事は専門的すぎて、我々一般人には実践することが難しいので、食べ物やサプリメントなど日常的にできる方法をブログで教えていただけないでしょうか。
そうすれば、将来の内部被曝による健康被害が減らせるでしょうし、よろしくお願いします。
by 秋津 (2011-05-04 16:42)
秋津さん、コメントありがとうございます。
私にとっても医学的な勉強のために記事を綴っていますが、
紹介している本が専門的なため、
正直自分にとっては難しい内容だと感じています^^;
もう少しこの本で医学的な除染の勉強を続けますが、
コメントいただいた日常的な方法についても
別に勉強して、記事に出来ればと思います。
by Kite (2011-05-09 01:12)
放射能の経口吸収と経皮吸収について検索していてこちらに辿り着きました。
わたしは仙台に住んでいます。
食品、水、牛乳の汚染から、できるだけ子どもを守りたいのに、
情報が不確かだったり、政府の言っていることが二転三転することで
普通のやりかたでは防御できない不安をおぼえています。
この記事のキトサンの効用は大変参考になりました。
今かなり話題に上がっているセシウムについて、
上にコメントをお書きの秋津さんと同様、
日常的な対処方法があればぜひ知りたいと思っています。
お仕事お忙しいとは思いますが、もしご説明いただけたら幸いと思います。
by 吉田 (2011-05-23 11:12)
吉田さん、コメントありがとうございます。
日常的な対処法も勉強してみます。
とはいえ、インターネットでの検索がメインになりますので
ご希望の記事とは違ってくるかも知れませんが、ご容赦下さい。
by Kite (2011-05-23 17:20)