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放射線と除染_29 天然物質概論 [医学~臨床]

この本を中心に、内部被曝した際の放射性核種除去方法について勉強しています。


人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム (KS理工学専門書)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/12/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


今日から「天然物質」を利用した、体内放射性核種の除去方法の勉強です。
現時点で実際に臨床応用されている訳ではなく、今後期待できるものとして記載されています。

細菌などの微生物や、タンパク・多糖類・ポリフェノールなどの生体物質の中には
放射性核種に対して強い親和性を示すものがあります。
その特徴から、キレート効果や核種濃縮能をもっているものがあり
排泄促進剤として利用できるものがいくつかあります。


1.微生物系バイオマス
細菌類の一部が優れたウラン濃縮能を持っていますし、トリウム濃縮能も高いため
ウラン系・トリウム系除去剤として期待できます。

キノコの中にも優れた濃縮能を持つものが分かっていて
おおむね全てが亜鉛やマンガンに高い濃縮能を持ちますが
一部にはセシウム濃縮能も高いキノコがあるそうです。

微細藻類(珪藻や緑藻など)はテクネシウムの濃縮能が高い事が示されています。


2.植物系バイオマス
タマネギの外皮、柑橘類の果皮や栗の皮などは
優れたウラン濃縮能を持つ事が分かっています。

これらの皮には、ポリフェノール系化合物が豊富で
タマネギ外皮や柑橘類果皮にはクエルセチンなどのフラボノイド系化合物が、
栗の皮にはタンニン系化合物が含まれているそうです。
それらがウラン濃縮能に関与しているのだろうと考えられています。

3.植物起源の生薬
タンニン系化合物が含まれる生薬が多いため
植物系バイオマスと同様ウラン濃縮能が高い事が分かっています。

おそらくタンニン系化合物がポリオキシフェニル基を介して
放射性核種と強いキレート結合を作っているのだろうと考えられています。

配位度もたかく、副作用も少ないというメリットがあり
放射性核種除去剤として有望視されています。


4.多糖系生体物質
植物に多いペクチン酸や褐藻類に多いアルギン酸は
ウランなどの放射性核種に対して強い親和性が認められています。

また、キチンは重金属を濃縮する能力を持っていて
キチン分子中の窒素原子を介し、重金属イオンが配位されるのだろうと考えられています。
キチンの脱アセチル化物であるキトサンも同様の濃縮能を持っています。

その他にも食品などでなじみ深い
諸々については、明日の記事にします。
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