放射線と除染_17~亜鉛の希釈 [医学~臨床]
内部被曝してしまった放射性核種を体外へ除去する方法のうち
「希釈」についての勉強も、今日が最後です。
放射性亜鉛の希釈について勉強します。
体内からの除去方法を理解するには、体内動態の理解が欠かせないのですが
亜鉛についても、マンガン・コバルトと一緒に以前記事にしました。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-01
亜鉛はDNAやタンパク合成での必須元素でもあり
一旦取り込まれると長期間体内に残留する元素です。
放射性亜鉛もしかりで、ICRPによると20日でも24%、400日でも76%しか排泄されません。
放射性亜鉛とくに65 Zn の除去方法としてはキレート法が一般に推奨されていますが
亜鉛の大量摂取には亜鉛の代謝回転促進効果があるため、希釈法も有用です。
まずは経口投与。
65 Zn 曝露後に、硫酸亜鉛(45~4500mg/kg)を添加した食事を与えたマウスでは
亜鉛濃度が高くなるほど65 Zn の排泄が促進されていました。
亜鉛の毒性は、経口投与の場合には比較的低く、
ラットにかなりの高亜鉛食(1200~8400mg/kg)を与えても毒性は見られませんでした。
ただし、あまりに高濃度の亜鉛食を与え続けると、逆に体内への蓄積が生じています。
亜鉛含有率が高いほど排泄も促進されるものの
濃すぎると排泄が追いつかず、体内に蓄積してしまうわけですね。
これらを鑑みて、NCRP(アメリカの審議委員会)は
1日660mgの硫酸亜鉛を3~4回に分けて摂取するのが有効と発表しています。
他の経路からの投与効果についての実験結果もあります。
ちなみに、一般に非経口的に薬物を投与する方法といえば、
マウスやラットなど実験動物では、多くが腹腔内投与です。
(猿・イヌ等、大きな動物になると静脈内投与がなされると思いますが・・・)
ヒトでは静脈内や筋肉内・皮下への注射での投与が多いと思います。
亜鉛を非経口的に投与した場合には、なんと!
65 Zn の排泄促進効果は殆どなかったそうです!
65 Zn 曝露後に腹腔内に硫酸亜鉛0.1~0.3mg/kgを投与したマウスでは
14日目でもほとんど変化がなく、濃度を上げてわずかに除去効果があるものの
毒性が目立ってきて、高濃度の投与は困難だったようです。
薬物の経口投与では、「吸収」「血液への移行」「代謝」などのステップで失われる分
非経口投与よりも濃度が濃くされています。
逆に言えば非経口投与は濃度が低くても効果が上がります。
しかし、亜鉛に関しては、非経口投与で認容できない毒性を出さないぎりぎりの量でも
経口投与よりもはるかに少量(1/150以下)であるため
非経口投与には、希釈効果は期待できないようです。
「希釈」についての勉強も、今日が最後です。
放射性亜鉛の希釈について勉強します。
体内からの除去方法を理解するには、体内動態の理解が欠かせないのですが
亜鉛についても、マンガン・コバルトと一緒に以前記事にしました。
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-04-01
亜鉛はDNAやタンパク合成での必須元素でもあり
一旦取り込まれると長期間体内に残留する元素です。
放射性亜鉛もしかりで、ICRPによると20日でも24%、400日でも76%しか排泄されません。
放射性亜鉛とくに65 Zn の除去方法としてはキレート法が一般に推奨されていますが
亜鉛の大量摂取には亜鉛の代謝回転促進効果があるため、希釈法も有用です。
まずは経口投与。
65 Zn 曝露後に、硫酸亜鉛(45~4500mg/kg)を添加した食事を与えたマウスでは
亜鉛濃度が高くなるほど65 Zn の排泄が促進されていました。
亜鉛の毒性は、経口投与の場合には比較的低く、
ラットにかなりの高亜鉛食(1200~8400mg/kg)を与えても毒性は見られませんでした。
ただし、あまりに高濃度の亜鉛食を与え続けると、逆に体内への蓄積が生じています。
亜鉛含有率が高いほど排泄も促進されるものの
濃すぎると排泄が追いつかず、体内に蓄積してしまうわけですね。
これらを鑑みて、NCRP(アメリカの審議委員会)は
1日660mgの硫酸亜鉛を3~4回に分けて摂取するのが有効と発表しています。
他の経路からの投与効果についての実験結果もあります。
ちなみに、一般に非経口的に薬物を投与する方法といえば、
マウスやラットなど実験動物では、多くが腹腔内投与です。
(猿・イヌ等、大きな動物になると静脈内投与がなされると思いますが・・・)
ヒトでは静脈内や筋肉内・皮下への注射での投与が多いと思います。
亜鉛を非経口的に投与した場合には、なんと!
65 Zn の排泄促進効果は殆どなかったそうです!
65 Zn 曝露後に腹腔内に硫酸亜鉛0.1~0.3mg/kgを投与したマウスでは
14日目でもほとんど変化がなく、濃度を上げてわずかに除去効果があるものの
毒性が目立ってきて、高濃度の投与は困難だったようです。
薬物の経口投与では、「吸収」「血液への移行」「代謝」などのステップで失われる分
非経口投与よりも濃度が濃くされています。
逆に言えば非経口投与は濃度が低くても効果が上がります。
しかし、亜鉛に関しては、非経口投与で認容できない毒性を出さないぎりぎりの量でも
経口投与よりもはるかに少量(1/150以下)であるため
非経口投与には、希釈効果は期待できないようです。
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