シリア:米攻撃延期 割れる中東各国の反応

毎日新聞 2013年09月03日 20時19分

 【エルサレム大治朋子、テヘラン田中龍士、カイロ秋山信一】米国が延期したシリア攻撃に対する中東の反応は割れている。シリアの敵対国イスラエルで延期に失望の声が上がる一方、アサド政権を軍事面でも支援するイランは「政治的解決」を呼びかける。親米国のサウジアラビアは、対立するイランけん制の意図もあり攻撃支持を強く打ち出している。

 イスラエルの地元紙によると、国防軍は2日、米軍攻撃後のシリアによる報復攻撃に対処するため非常招集していた予備役兵約1000人の一部の配備解除を開始した。ただ、ネタニヤフ首相は警戒態勢の全面解除は命じていない。

 アリエル住宅相(宗教極右政党「ユダヤの家」)は1日「数万人の子どもたちが死ぬまで軍事介入を待つ必要はない。(アサド大統領を)排除すべきだ」と述べ、米国の判断を痛烈に批判した。

 一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長は1日夜、ラマラで演説し、「いかなる者の化学兵器使用も非難する」と言明。そのうえで「アラブ国家への攻撃は受け入れられない」とも述べ、シリアやエジプトの混乱が続くなか、軍事介入がさらなる地域の不安定化を招きかねないとの見解から否定的な立場を表明した。

 イラン革命防衛隊のジャファリ最高司令官は「限定的攻撃という米国の主張は幻想に過ぎず、反撃はシリアの国境を越える」と警告。ラフサンジャニ元大統領も「米国の攻撃は、中東地域を巻き込んだ戦争を引き起こす」と非難している。

 シリア反体制派を支援するサウジアラビアのサウド外相は1日、エジプトの首都カイロで開かれたアラブ連盟の外相会議で「国際社会が行動をとらなければ、アサド政権はあらゆる種類の大量破壊兵器を使いかねない」と発言。米国などの軍事行動への支持を訴えた。カタールやアラブ首長国連邦(UAE)など他の湾岸諸国も同調した。だが親シリアのレバノンやイラクは反対。アサド政権に批判的なエジプトも軍事行動には否定的だ。

 エジプトのシンクタンク「アハラム政治戦略研究所」のエマード・ガド氏は「サウジとイランは、シリアやレバノンなど各国の国内勢力と結びついて、覇権を競っている。米軍がアサド政権への軍事行動に踏み切れば、イランの立場は弱くなる。攻撃が大規模になれば、体面を保つためにも(親米の)イスラエルなどに報復するだろう」と指摘している。

最新写真特集

毎日新聞社のご案内

TAP-i

毎日スポニチTAP-i
ニュースを、さわろう。

毎日新聞Androidアプリ

毎日新聞Androidアプリ

MOTTAINAI

MOTTAINAIキャンペーン

まいまいクラブ

まいまいクラブ

毎日RT

毎日RT

毎日ウィークリー

毎日ウィークリー

Tポイントサービス

Tポイントサービス

毎日jp×Firefox

毎日jp×Firefox

毎日新聞のソーシャルアカウント

毎日新聞の
ソーシャルアカウント

毎日新聞社の本と雑誌

毎日新聞社の本と雑誌

サンデー毎日

サンデー毎日

週刊エコノミスト

週刊エコノミスト

毎日プレミアムモール(通販)

毎日プレミアムモール(通販)

毎日新聞のCM

毎日新聞のCM

環境の毎日

環境の毎日

毎日新聞を海外で読む

毎日新聞を海外で読む

日報連

日報連