■キム・スンオクさん「故郷の平壌にある両親の墓に行きたい」
(1)91歳(1922年)/平壌
(2)家計が苦しく、7歳のときから他人の家で暮らし、おなかをすかせた弟たちの面倒を見るため父によって妓生(キーセン。芸妓)として売られた。また家に戻るつもりでせっせとお金を稼ぎ、借金を全部返して戻ったが、父親がまた自分を売り、中国・黒竜江省の「石門子」慰安所に行くことになった。約5年間、慰安婦として働かされた。
(3)故郷に戻る気にはとてもなれず、慰安所があった中国・黒竜江省周辺で暮らした。中国では娘4人と息子2人、嫁、孫が暮らしている。
(4)2005年12月に韓国に永久帰国し、現在は「ナヌムの家」で暮らしている。
(5)故郷の平壌に行くこと。「私はもう90歳を過ぎた。特別な願いなど何もない。それでも、自分の故郷・平壌にはぜひ1度行ってみたい。けれども、お金がなくて行けないではないか。お金がなくては。ハハ。故郷に行ったら、父と母が埋葬されている墓にも1度行ってみたい。また、中国で暮らす子どもたちとも会いたい。なのにもう元気がなくて、中国に行くのは容易ではない。それでも、子どもたちに会いたい気持ちはどうにもできない」