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【芸能・社会】

「利休にたずねよ」芸術貢献賞 主演海老蔵「父も喜ぶ」

2013年9月4日 紙面から

映画「利休にたずねよ」がモントリオール世界映画祭最優秀芸術貢献賞を受賞し、記者会見する市川海老蔵=東京都中央区の歌舞伎座タワーで(戸田泰雅撮影)

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 カナダで開催されていた「第37回モントリオール世界映画祭」の授賞式が2日夜(日本時間3日午前)に開かれ、歌舞伎俳優の市川海老蔵(35)主演の映画「利休にたずねよ」(田中光敏監督)が、芸術性の高い作品に贈られる最優秀芸術貢献賞を受賞した。

 安土桃山時代の茶道家・利休を演じた海老蔵は、歌舞伎座出演のため映画祭に参加はできなかったものの、2月に66歳で亡くなった父の市川団十郎さんが病に倒れる直前に撮影に参加し映画で親子初共演を果たしたほか、団十郎さんの遺作となった作品だけに喜びもひとしおだ。

 カナダ入りしている利休の妻・宗恩を演じた中谷美紀(37)は、授賞式後に「セリフが極端に少ない作品。行間に込めた思いをどのようにくみ取っていただけるかと思っていましたが、沈黙の中に心のひだが幾重にも折り重なっているのを感じ取っていただけたのではないでしょうか」と感無量だった。

 中谷と授賞式に臨んだ田中監督も「こういう賞をいただけるとは思わなかったので本当にビックリ。ストーリーの持つ美しさを海外の方にも評価していただけた」と喜びをかみしめた。

 12月7日公開の同作は、作家山本兼一さんの直木賞受賞作の映画化で、利休の研ぎ澄まされた美意識と若き日の悲恋を描く。団十郎さんは利休の師、武野紹鴎役で特別出演。ほかに伊勢谷友介(37)、大森南朋(41)が共演している。

 モントリオール世界映画祭は北米最大規模で、89年に勅使河原宏監督の「利休」、90年に熊井啓監督の「式部物語」が最優秀芸術貢献賞を受賞。06年に奥田瑛二監督の「長い散歩」、08年に滝田洋二郎監督の「おくりびと」が最優秀作品賞、10年「悪人」で深津絵里が最優秀女優賞を射止めている。

◆日本の文化 海外に評価された

 市川海老蔵(35)は3日夜、東京・銀座の歌舞伎座タワーで会見した。

 直前まで歌舞伎座の舞台に立っていた海老蔵は、気持ちの切り替えができておらず、最初は硬い表情だったが、「『芸術』という言葉が賞の名にあるように、日本の文化、お茶の美しさが海外の方に再度評価されたことが、僕にとっては嬉しかった」と喜びを語り、次第に顔をほころばせた。

 海老蔵が千利休を、2月に亡くなった団十郎さんが利休の師匠役を演じ、最後の親子共演となった特別な作品。「日本の良さを父はすごく大事にしていたので、こういう賞を頂戴して、12月の公開で少しでも多くの方々に見ていただけることは、父としても喜ばしいことだったのでは」と、完成を見ることなく逝った父に思いをはせ、「まあ、ちょっと報告はできないですが」と付け足した。

 共演シーンが撮影された昨年11〜12月、団十郎さんは京都の南座に出演中で、公演の合間を縫って京都・太秦の撮影所に通ってくれたという。海老蔵は、「父とのやりとりは勉強になった。こういう父との思い出の作品が残っているだけで有り難いのに…」と、あらためて受賞の意義を噛みしめていた。今後も歌舞伎が自身の芯であることは変わりないが、「他の世界の人たちからも学びたい」と映像作品への意欲を見せ、「来年また撮るみたいな話はあります」と明かした。

 

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