| 持ち込まれた2匹の子猫。段ボール箱の中で震えていた=長崎市動物管理センター
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20〜26日は動物愛護週間。長崎市動物管理センターによると市では近年、犬の放し飼いが減るなど飼い方が改善傾向にあり、野良犬の捕獲数、殺処分数は減少している。だが繁殖力が強い猫は、市の引き取り数が年間約2千〜3千匹で推移、9割以上が殺処分に至っている。数を減らすため、同センターは飼い猫、地域猫の繁殖制限(不妊・去勢手術)を呼び掛けており、市は来年度から地域猫の手術代助成も検討中だ。
茂里町の同センター。動物用おりから、犬のほえ声が絶え間なく聞こえる。おりの近くにあった段ボール箱をのぞくと2匹のかわいい子猫が、もがいていた。引き取り手が見つからなければ殺処分される。「犬や猫の問題は、基本的には人間の飼い方の問題なんです」と同センターの安西仁所長は話す。
同市の犬の捕獲数は2008年の234匹が12年度には115匹に、殺処分は86匹から13匹に大幅減。持ち込まれるなどした犬を引き取った数も114匹から53匹に、殺処分は67匹から7匹に減った。殺処分の減は、ボランティアらが犬の新たな飼い主を見つけて譲渡する活動を熱心に行っているため。市は今後、捕獲などの業務を民間委託する方針で、開会中の定例市議会に市犬取締条例改正案を提出中。飼い主の義務、罰則規定の見直しも行い、対応を充実させる。
一方、猫については捕獲はなく、引き取りだけ。その数は市内で08年度3001匹、12年度2026匹。減りはしているが里親探しは追いつかず、殺処分は08年度2897匹、12年度1935匹と大量だ。
地域猫は不妊・去勢をしなければ繁殖する。また飼い猫も屋外で繁殖する機会は頻繁にある。安西所長によると、雄の去勢手術は1万5千円ほど、雌の不妊手術は2万円ほど掛かるという。飼い猫は飼い主の責任で繁殖制限すべきだが、地域猫は責任の所在が不明。このため市は、地域猫に関わる団体や個人に対し、繁殖制限の手術代の一部を助成する制度を検討中。手術後には何らかのマークを付け、判別できるようにして徐々に地域猫の繁殖制限を拡大、"無用な殺生"を減らす方針だ。
市は動物愛護について市民に考えてもらおうと、22日午後1時、同市上町のNBC別館1階で市動物愛護フェスタ(長崎新聞社など後援)を開く。ペンギン・犬とのふれあいコーナー、子ども向け動物折り紙などのほか、午後1時から坂東元・旭川市旭山動物園長が「動物と人との共存」と題し講演。午後3時から「しつけ方教室」もある。問い合わせは市動物管理センター(電095・844・2961)。