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汚染水対策―先を読んだ危機管理を

安倍首相を本部長とする原子力災害対策本部がきのう、福島第一原発の放射能汚染水問題について、「国が前面に出て必要な対策を実行する」との基本方針を決めた。内容はおおむね妥当[記事全文]

五輪と皇族―巻き込んでいいのか

高円宮妃久子さまが、2020年夏季五輪の開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会に出席する。総会があるブエノスアイレスへの出発直前に決まった。首相官邸や文部科[記事全文]

汚染水対策―先を読んだ危機管理を

 安倍首相を本部長とする原子力災害対策本部がきのう、福島第一原発の放射能汚染水問題について、「国が前面に出て必要な対策を実行する」との基本方針を決めた。

 内容はおおむね妥当である。

 政府はこれまでの反省をふまえ、有効な対策が早く着実に進められるよう、全力を挙げなければならない。

 基本方針は「従来のような逐次的な事後対応ではなく、リスクを広く洗い出し、予防的かつ重層的に、抜本的な対策を講じる」とうたっている。

 当然のことだ。

 これまで、東京電力の対応は後手後手にまわり、あまりにも場当たり的だった。

 たとえば、原子炉建屋の海側にあるトレンチ(地下坑道)には極めて高濃度の汚染水がたまっており、地下水汚染の元凶と考えられている。この汚染水を抜く重要性は早くから指摘されてきたにもかかわらず、東電は「放射線量が高く、作業が難しい」とためらい、着手してこなかった。

 汚染水の保管タンクも、余震が続くなか、長期保管が必至なのだから、相当の資金をかけてでも頑丈な危険物保管用タンクの建造を急ぐべきだった。

 海への汚染水流出を止めようと地中に壁を造っても、地下水位が上昇すれば当然対応が必要なのに、それも遅れた。

 監督してきた経済産業省が責任を免れるものではない。教訓を今後に生かすべきだ。

 気になるのは、国費投入の範囲である。

 基本方針は「技術的難易度が高いものについて財政措置を進めていく」とし、地下水の流入を防ぐ凍土式の陸側遮水壁と、より高性能な放射能除去設備の事業費は、政府がまかなうと明記した。

 だが、たとえば最優先課題であるタンク問題の対応を東電にゆだねたままではいけない。

 やっつけ仕事で軟弱地盤の上に造られたタンク群は、きわめて危うい状況にある。思い切って移設することも含め、根本的な対策が迫られている。

 必要な対策が東電側の事情で後回しにならないよう、目を光らせるべきだ。

 凍土式遮水壁は大規模・長期的な運用経験がない。未知数の対策に楽観的に寄りかかってはならない。まさに「予防的かつ重層的に」、多重の対策が求められる。

 今回の事態には海外も注視している。安倍政権は、国家的危機であるという認識のもと、ことにあたってほしい。

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五輪と皇族―巻き込んでいいのか

 高円宮妃久子さまが、2020年夏季五輪の開催地を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会に出席する。

 総会があるブエノスアイレスへの出発直前に決まった。首相官邸や文部科学相の強い要請に宮内庁が応じたというが、唐突の感は否めない。

 過去に国内で開かれた五輪では、天皇が大会名誉総裁を務めるなど、皇室と五輪のゆかりは深い。しかし、いずれも国内開催が決まったあとのことで、招致そのものに皇族がかかわることはなかった。

 五輪の招致活動では、国をあげて他国の候補地と競い合う。成否がときの政権の評価に影響することもあるだろう。

 戦前の反省から、憲法は天皇の政治的行為を禁じている。天皇に準じる皇族も政治に関与せず、中立であるべきだと考えられてきた。

 だからこそ、五輪招致に皇族が協力することはこれまで慎まれてきた。

 久子さまは東京のプレゼンテーションの冒頭で約3分間、東日本大震災の復興支援に対する感謝の言葉を述べるという。招致活動とは別、と政府は説明している。

 だが、東京に割り当てられた持ち時間のなかで、皇族という立場であいさつすれば、招致活動の一環だと受け止められても不思議はない。

 招致に利用する意図はないといいながら、プラスにはたらくよう期待する政府の本音は隠しようもない。

 政治と皇室の関係では、最近、気になる動きが目立つ。

 4月にあった主権回復式典では、天皇ご夫妻の出席をめぐり、政治目的で利用しているとの指摘があった。

 民主党政権下の09年には、中国の習近平・国家副主席(現主席)と天皇の会見が首相の要請で慣例を破って決められたことについて、宮内庁が天皇の政治利用への懸念を示している。

 今回も、十分な議論がないまま久子さまのIOC総会出席が決まった。

 風岡宮内庁長官は会見で「招致活動の一環と見られかねない懸念もあり、苦渋の決断だった」と語っている。

 これに対し、菅官房長官は「皇室の政治利用や官邸からの圧力といった批判はあたらない」と反論した。

 官邸と宮内庁の間に、これほど大きな意見の隔たりがあること自体、尋常ではない。

 なし崩しに皇族の活動を広げ、政治利用に道を開くことがあってはならない。

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