「第37回モントリオール世界映画祭」の授賞式が2日に行われ、歌舞伎俳優・市川海老蔵(35)が主演する映画「利休にたずねよ」(田中光敏監督、12月7日公開)が芸術性の高い作品に贈られる最優秀芸術貢献賞を受賞した。同作には、今年2月に肺炎のため死去した海老蔵の父・市川團十郎さん(享年66歳)も出演。海老蔵は3日夜、歌舞伎座で会見し自身の出演作が初の映画賞を獲得した喜びを語った。
朗報を聞き、海老蔵が思うのは、やはり天国の父のことだった。「共演した父(市川團十郎さん)との映画が残るだけでもありがたいと思った。それが海外でも評価されて。生きていたらどれだけ喜んでくれたでしょう」と感極まった。
カンヌ映画祭コンペ出品作「一命」(三池崇史監督)以来の海外映画祭で初の受賞。もし最優秀男優賞を取っていたら「鉄道員」(99年)の高倉健以来の快挙だった。「芸術貢献賞」の感想を聞かれ「う~ん。日本の良さ芸術的な美しさが評価されたのかな」。受賞の一報は「朝7、8、9時ごろだったかな」と珍答。「すぐブログに書こうと思ったらテレビの速報出るまで待て、と言われた。なのに楽屋に着いたら(片岡)愛之助さんらみんな受賞を知ってたんだよな」と笑いを誘った。
麻央夫人からも「おめでとう」と祝福された。映画で妻を演じた中谷美紀には、ギリギリまで「何で行かないの?」と一緒の現地入りを説得されたが日程的に断念。「賞は監督やスタッフの力が大きい。でもいい奥さん持てて幸せです」と“2人の妻”に感謝することも忘れなかった。
会見中に♪ピョロピョロ~と電源を切るのを忘れた携帯電話の大きな着信音が鳴るのもご愛嬌(あいきょう)。「映画は舞台と手法が違うが、魂を込めることは同じで得るものは多いので勉強になる」と忙しくてもできる限り出ていきたいという。これからゆっくり受賞を喜び合うのか? と聞かれると「いや、トレーニングに行ってきます」とあっけらかんと答えていた。
◆妻役の中谷美紀「幸せだったな」 モントリオールでの公式上映と授賞式に出席した利休の妻・宗恩役の女優・中谷美紀(37)も大喜び。「やんちゃ坊主の海老蔵さんと猛獣使いの田中監督は(現場では)まるで親子のような兄弟のように見えていました。本当にその場にいることができて幸せだったなと思います」と振り返った。
◆利休にたずねよ 2008年に直木賞を受賞した山本兼一さんの同名小説が原作。戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した茶人、千利休(市川海老蔵)の研ぎ澄まされた美意識と、若き日の悲恋を描く。利休が実際に使った茶器も登場する。
[2013/9/4-06:03 スポーツ報知]