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Top > 特集記事 > 芸能・スポーツ > 2013.8.5
独占インタビュー 大人気朝ドラに出演するただ一人の悪役
古田新太が教えてくれた『あまちゃん』のラストシーン
■芸能界は甘くない! ■小泉今日子と飲みに行ったら
■最後までこのノリでいきます  
じぇじぇ! アキと春子が独立して事務所を立ち上げる!? そんな怒濤の展開の中で一層怪しい存在感を放つのが、プロデューサーの「太巻」。演じる古田新太が、国民的朝ドラの魅力を語り尽くした。

芸能界は甘くない!
 おいらの演じる大物プロデューサー・太巻(荒巻太一)は、善人ばかり登場する『あまちゃん』のなかの唯一の悪役。だから、これまでは視聴者にできるだけ「嫌な奴」「気持ち悪い奴」と思ってもらえるように演じてきました。

 けれど、太巻はアイドルを育てることに誰よりも強い情熱を注いでいる男でもあるんですよ。今後の展開で、太巻は春子(小泉今日子)やアキ(能年玲奈のうねんれな)に引っかき回され、鈴鹿さん(薬師丸ひろ子)に突っ込まれて、いままで隠されていた意外な人情家としての一面が次第に顕あらわになってきます。

「じゃあ、太巻がアイドルを目指すアキに冷たい態度を取るのはどうして?」という声が上がりそうです。「母親の春子が鈴鹿ひろ美の影武者だったことを隠すため」という解釈もあるようですが、おいらの解釈は違います。

「芸能界は甘くないんだ。なにしろ、俺はお前のお母さんをデビューさせられなかった男なんだ」

 という忸怩じくじたる思いが太巻にあり、だからこそ、あえてアキに厳しく接していると思うんです。それほど、春子という才能の原石を鈴鹿ひろ美の「影武者」にしてしまったことは、太巻にとって大きかった。彼女をデビューさせられなくなった体験がトラウマになっているんですよ。春子が影武者として歌った『潮騒のメモリー』に端を発した一件は、彼が「俺の仕事は人ひとりの人生を預かる仕事なんだ。だからこそ、軽い気持ちでやってはいけないんだ」ということを学習した経験だったんです。

 もちろん、太巻はアキに冷たくする一方で、彼女のアイドルとしての才能にも気づいている。そんな太巻がアキたちによって、どのようにして芸能界のモンスターから人間らしい男に変わっていくのか、それは今後を見てのお楽しみです。

 最初この役を依頼されたときは、脚本の宮藤(官九郎)くんからも、チーフプロデューサーの訓覇くるべ(圭)くんからも「大物プロデューサー」としか説明を受けなかったんです。宮藤くんは、おいらがダンスが得意だと分かっていて、元ダンサーという設定にしたんでしょう。曲よりも振り付けが先のプロデューサーなんてありえないけど(笑)。

 実際の役作りでは、太巻の細かい人物造形にこだわりました。太巻といえば、両脇に手を入れる気持ち悪い腕組みポーズ。実はあれ、映画『トレインスポッティング』に主演したユアン・マクレガーのポーズを意識しておいらが考えました。太巻の気持ち悪さを見せるためのポーズでもありますが、腕組みすることで無意識に自分を守ろうとしている彼の心の弱さを表現してもいるんです。

 もうひとつこだわったのが彼のメガネ。あるとき、監督から「印象的にメガネを外すシーンを作りたい」といわれたんですが、おいらの中で太巻は人前では絶対にメガネを外さない男なんです。周りに人がいなくなり、一人だけになったときにやっとメガネを外す。そういう自意識の強い人物をイメージしていたので、監督の申し出は断りました。

 こだわるといえば、いまの太巻と'80年代の太巻の演じ分けにもこだわっています。おいらは当時のダンサーがどんな着こなしをしていたかよく知っているので、ネクタイの締め方からベルトの巻き方まで意見を大幅に取り入れてもらいました。当時はDCブランドが流行っていて、あんな格好の奴が周りにたくさんいたんですよ。

 それと'80年代の太巻は若く、これから芸能界の人間としてやっていこうという気負いがあったはずだから、態度も少し馴れ馴れしく、話し方も砕けた口調で演じています。そのあたりの違いに気づいてもらえたら嬉しいですね。











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