米国株:上昇、シリア緊迫を懸念も良好な経済統計を材料視
9月3日(ブルームバーグ):3日の米国株 は上昇。対シリア軍事行動への懸念が強まったが、市場では予想よりも良好な経済統計が材料視された。
テレビネットワークのCBS は上昇。同社の番組をケーブルテレビのタイムワーナー・ケーブル(TWC)で再び視聴できるようになったことが好感された。一方、マイクロソフトは下落。54億4000万ユーロを支払いフィンランドのノキアの携帯電話機事業を買収し、同社の特許のライセンス供与を受けることで合意したことが材料となった。ベライゾン・コミュニケーションズは2.9%下落。同社は米携帯合弁会社ベライゾン・ワイヤレスの持ち分45%を、合弁相手の英ボーダフォン・グループから約1300億ドルで買い取ることで合意した。
S&P500種株価指数は前営業日比0.4%高の1639.77。ダウ工業株30種平均は23.65ドル(0.2%)上げて14833.96ドル。2日はレーバーデーの祝日で休場だった。
INGのUSインベストメント・マネジメントのバイスプレジデント兼市場ストラテジストのカリン・カバノー氏は「景気を見ると状況は良くなりつつある」と述べ、「中東にかなり緊張があることは理解している。ただ状況が落ち着くのを待ってから市場に参加しようとすると、永遠に待つことになる。ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を見て、そのファンダメンタルズが改善しているのであればそれが方向性のシグナルだ」と続けた。
予想より良好なISM統計米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業総合景況指数 は55.7と、前月の55.4から上昇し、2011年6月以来の水準となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は54。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。また7月の米建設支出は約4年ぶりの高水準となった。
この日は、ベイナー下院議長とキャンター共和党下院院内総務がオバマ大統領が呼びかけるシリアへの軍事行動に支持を表明したことを受けて、米国株は上げ幅を削った場面もあった。
S&P500種産業別10指数によると、金融株や消費者サービス株、ヘルスケア関連株が特に上昇した。一方、公益事業株と通信サービス株は下落した。
CBSが上昇CBSは4.7%上昇。TWCと契約しているニューヨークとロサンゼルス、ダラスの利用者は1カ月ぶりにCBSの番組を視聴できるようになる。CBSが放映する米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)のレギュラーシーズン開幕を前に両社が歩み寄った。
事情に詳しい関係者によれば、TWCはCBSへの支払い額を大幅に引き上げることで合意した。
シティグループ は2.2%上昇。米ウォールストリート・ジャーナル紙は匿名の関係者を引用して、シティグループが過去1カ月間でプライベートエクイティ(未公開株、PE)やヘッジファンドの資産を60億ドル以上売却したと報じた。
アップル は0.3%上昇。同社は10日にイベントを開催すると明らかにした。スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」新機種の発表が予想されている。
マイクロソフトは4.6%下落。発表資料によると、同社はノキアのデバイス・アンド・サービス事業買収に37億9000万ユーロ、特許のライセンス取得に16億5000万ユーロを支払う。
シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX)は2.4%低下の16.61。VIXは8月に26%上昇した。
原題:U.S. Stocks Advance as Economic Data Overshadow SyriaConcerns(抜粋)
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更新日時: 2013/09/04 06:42 JST