9月3日の米国マーケットサマリー:ドルと株が上昇、米国債は下落
9月3日(ブルームバーグ):ニューヨークの為替・株式・債券・商品相場は次の通り。(表はNY午後4時現在)
為替 スポット価格 前営業日 ユーロ/ドル 1.3177 1.3192 ドル/円 99.56 99.33 ユーロ/円 131.19 131.04 株 終値 (暫定値) 前営業日比 変化率 ダウ工業株30種 14,833.96 +23.65 +.2% S&P500種 1,639.77 +6.80 +.4% ナスダック総合指数 3,612.61 +22.74 +.6% 債券 直近利回り 前営業日比 米国債2年物 .41% +.02 米国債10年物 2.86% +.07 米国債30年物 3.79% +.09 商品 (中心限月) 終値 前営業日比 変化率 COMEX金 (ドル/オンス) 1,412.00 +15.90 +1.14% 原油先物 (ドル/バレル) 108.57 +.92 +.85%◎NY外為市場
ニューヨーク外国為替市場ではドルが7週間ぶり高水準に上昇。米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業総合景況指数が2011年6月以来の水準に上昇したことで、金融当局が今月債券購入の縮小開始を決定するとの観測が強まった。
ドルは対円では1カ月ぶり高値を付けた。米国によるシリアへの軍事介入が見込まれる中、イスラエルによるミサイル試射を受け中東での衝突が激しさを増すとの懸念が強まり、安全需要が高まった。オーストラリア・ドルは上昇。オーストラリア準備銀行(中央銀行)はこの日の政策決定会合で政策金利を据え置いた。インドネシア・ルピアは約4年ぶり安値に下げた。
みずほ銀行の為替ストラテジスト、シレーン・ハラーリ氏(ニューヨーク在勤)は電話取材で、「ISM製造業景況指数は予想よりもずっと良かった。製造業の分野は拡大が続いている」とした上で、「今週は重要な経済指標がまだ多くある。雇用統計を控えて市場は様子見モードだ」と加えた。
ニューヨーク時間午後2時52分現在、主要10通貨に対するドル相場を反映するブルームバーグ米ドル指数 は前日比0.1%上昇の1037.07。一時7月16日以来の高水準を付けた。
ドルは対円で0.1%値上がりし1ドル=99円46銭。円はユーロに対し0.1%上昇の1ユーロ=130円93銭。ドルは対ユーロで0.2%高の1ユーロ=1.3165ドル。一時7月22日以来の高値を付けた。
◎米国株式市場3日の米国株 は上昇。対シリア軍事行動への懸念が強まったが、市場では予想よりも良好な経済統計が材料視された。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値によると、S&P500種株価指数は前営業日比0.4%高の1639.77。ダウ工業株30種平均は23.65ドル(0.2%)上げて14833.96ドル。9月2日はレーバーデーの祝日で休場だった。
INGのUSインベストメント・マネジメントのバイスプレジデント兼市場ストラテジストのカリン・カバノー氏は「景気を見ると状況は良くなりつつある」と述べ、「中東にかなり緊張があることは理解している。ただ状況が落ち着くのを待ってから市場に参加しようとすると、永遠に待つことになる。ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を見て、そのファンダメンタルズが改善しているのであればそれが方向性のシグナルだ」と続けた。
米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業総合景況指数 は55.7と、前月の55.4から上昇し、2011年6月以来の水準となった。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は54。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。また7月の米建設支出は約4年ぶりの高水準となった。
◎米国債市場米国債相場は1カ月ぶりの大幅安となった。8月の米製造業景況指数が市場予想を上回り、金融当局が早期に金融緩和の規模縮小を発表するとの見方が強まった。
米国によるシリア攻撃が目前に迫っているとの見方が後退し、逃避需要が弱まったことも売り材料。労働省が6日に発表する8月の雇用統計では雇用拡大が予想されている。17-18日には連邦公開市場委員会(FOMC)会合が開催される。
ソシエテ・ジェネラルのトレーダー、ショーン・マーフィー氏(ニューヨーク在勤)は「予想を上回る経済指標とシリア情勢の緊迫緩和で、米国債はほぼ一本調子で下げた」と指摘。「週末の雇用統計への関心がかなり高い」と述べた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後2時39分現在、10年債利回り は前週末比7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.85%。一時は13bp上昇の2.91%と、8月1日以来の大幅な上昇となり、同月23日以来の高水準を付けた。同年債(表面利率2.5%、2023年8月償還)価格は19/32下げて96 30/32。
◎NY金先物市場ニューヨーク金先物相場は1週間ぶりの上昇。オバマ米大統領がシリアへの軍事攻撃に関して議会指導者の支持を得たことを背景に、逃避資産としての買いが活発になった。
ベイナー下院議長はこの日「オバマ大統領が要請した対シリア行動を支持する」と発言。オバマ政権はアサド政権が先月にシリア国民に対しサリンガスを使用したとみており、これに対する軍事力の行使を認めるよう議会に働き掛けている。
ロジック・アドバイザーズのパートナー、ビル・オニール氏は電話インタビューで、「不透明感が多い」と指摘。「安全逃避先としての金の魅力が見直されている」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前週末比1.1%高の1オンス=1412ドルで終了。8月27日以来の上昇となった。
◎NY原油先物ニューヨーク原油先物相場は上昇。オバマ米大統領が議会に求めたシリア攻撃が承認されれば、中東からの原油供給が滞りかねないとの懸念が強まった。
ベイナー米下院議長は記者団に対し、オバマ大統領が承認を求めたシリア攻撃を支持すると表明。大統領は8月31日に攻撃決定の前に議会に承認を求める意向を明らかにして以来、議会説得に力を入れている。イスラエルが米国と共同で地中海でミサイル発射テストを実施したことから、原油は朝方から堅調に推移していた。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「シリアに対する軍事行動がじわじわと迫っているようであり、市場はこれを織り込みつつある」と指摘。「この先にはニュース主導のリスクがある。シリアの状況が解決するまで市場がどのように反応するかは、けさのイスラエルのミサイル実験が良い例だ」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物10月限は前営業日比89セント(0.83%)高の1バレル=108.54ドルで終了。前日はレーバーデーの祝日で、通常取引はなかった。
更新日時: 2013/09/04 05:26 JST