茨城沖1000ベクレル魚、海洋汚染拡大の証拠
団藤 保晴 | ネットジャーナリスト、元新聞記者
地下水の高汚染が続々と明らかになっても海洋流出を否定し続ける東電に、汚染拡大の証拠が突きつけられたと言えそう。茨城沖で見つかった1000ベクレルのスズキは特異ではなく福島沖から汚染繋がりの様相です。NHKは11日に「日立市沖で採取されたスズキから、1キログラム当たり1000ベクレルを超える放射性セシウムが検出されました。おととしの原発事故直後以来の高い値」と伝えていますが、水産庁のまとめによると、国基準のセシウム合計値100ベクレル超えのスズキは隣接する福島沖で4月以降もたびたび見つかっています。
グラフにある通り、4月以降の基準超えは9匹でした。福島沖では4月に510ベクレルと500ベクレルのスズキが揚がりました。定着している可能性が高い底魚と違って、回遊性がある中層魚のスズキですから、茨城北部沖を福島沖と区別するのは不当です。今回の1000ベクレル魚は汚染がさらに酷くなる兆しとみるべきでしょう。
第370回「セシウム日常的海洋流出を東電、福島県は認識」では東電の公表資料で、原子炉等規制法に定める液体状放射性廃棄物の濃度限度を超えた海への放出が日常化していると指摘しました。福島原発事故の影響は収束どころではありません。
原子力規制委が「高濃度の汚染水が地中に漏れ、海洋への拡散が起こっていることが強く疑われる」と見解を示しているように、これまでの観測では押さえられていない放射能流出経路があるはずです。井戸に土が混じったとか、過去の汚染の影響とか、その場しのぎの言い訳をする東電に任せず、全容をつかめる態勢を急ぎ構築しなければなりません。
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