米マイクロソフトがノキア携帯事業を買収、モバイルで新たな賭け
[ヘルシンキ 3日 ロイター] - 米マイクロソフト(MSFT.O: 株価, 企業情報, レポート)は3日、フィンランドのノキア(NOK1V.HE: 株価, 企業情報, レポート)の携帯電話事業を54億4000万ユーロ(72億ドル)で買収すると発表した。買収取引の終了後、ノキアのスティーブン・エロップ最高経営責任者(CEO)がマイクロソフトに復帰することになる。
2010年にマイクロソフトからノキアのCEOに就任したエロップ氏は、退任の意向を表明しているマイクロソフトのスティーブ・バルマーCEOの後任候補の1人と目されている。
バルマー氏は「デバイスとサービス」の会社への転換を推進してきたが、モバイル機器の革命に乗り遅れたと批判されてきた。マイクロソフトは2012年にタブレット端末「サーフェス」を発売しモバイル市場に参入したものの、売り上げは伸びていない。
ノキアの携帯電話事業買収によって、マイクロソフトは過熱するモバイル市場の競争にさらに身をさらすことになる。投資家の一部は、従来の中核事業であるソフトウエアとサービスに引き続き注力するように求めている。
物言う株主グループとして知られるバリューアクト・キャピタル・マネジメントは、バルマー氏の指導力と、利益率が低く競争が厳しいモバイル機器に傾注することに対して懸念を示してきた。
ただ、バルマー氏の積極的な戦略を支持する声もある。
CCSインサイトのジョフ・ブレイバー氏は、「これは壮大かつマイクロソフトに必要な賭けだ。ウィンドウズ・モバイル・フォンが何年にもわたり不発だったが、今やり方を変え、ソフトウエアとハードウエアの両方を支配しようとしている」と述べた。
エロップ氏はマイクロソフトで、ノキア買収後のデバイス部門の責任者となる。2014年第1・四半期に取引が完了する見込み。
かつては携帯電話で市場をリードしていたノキアは、アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)やサムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)といったスマートフォンメーカーの勢いに圧倒され、苦戦していた。
ノキアは2011年にマイクロソフトと提携関係を結んだ。同時に、マイクロソフトの携帯向け基本ソフト(OS)「ウィンドウズフォン」へ乗り換えるという賭けに出たが、アナリストはまだ期待通りの成果をあげていないと指摘している。
マイクロソフトのバルマーCEOは声明で、「未来に向けた大胆な一歩。従業員や株主、両社の製品の購入者全てが利益を享受できる」とコメント。そのうえで「携帯電話におけるマイクロソフトの市場シェアが拡大し、利益が高まる。また、マイクロソフトとその提携先にとって、全般的にチャンスが増えることにもなる」と指摘した。
ノキアは声明で、取引が完了し次第、エロップCEOと同社の幹部がマイクロソフトに移籍すると明らかにした。マイクロソフトでの役職については明らかになっていない。
新たなCEOが見つかるまで、Risto Siilasmaa会長が暫定CEOを務める。
マイクロソフトは今回の取引で、ノキアの特許のライセンス供与も受けることになる。取引はノキア株主と規制当局の承認を得る必要がある。買収には海外で保有する資金を充てる方針という。
*内容を追加します。
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