英国でも猫ひろし論争

 

 

英国でも猫ひろし論争

  

日本で猫ひろしが日本国籍からカンボジア国籍に変更し、物議を醸し出しましたが、ロンドン五輪の開幕まで3カ月余りになったイギリスでも、海外生まれの選手が帰化して「にわかに英国人」になり、英国の代表で五輪に出場するケースが代表者の1割になることが分かりました。

 

 

英国は日本と違い多重国籍が認められていますが、ロンドンが五輪開催地に選ばれた2005年以降に英国籍を取得したり主張したりして出場権を獲得した選手は、代表約550人のうちおよそ50人に上ります。

 

 

 

この論争の発端は今年3月にトルコのイスタンブールでの世界室内陸上競技選手権大会で、英国陸上チームの主将に選ばれた、女子ハードルのティファニー・ポーター(24)に対し、英大衆紙デーリー・メールの記者が「英国歌を歌ってみてくれ」と意地悪く質問したことが発端で、同氏は、「私は歌唱力で認められたわけではない」と迷回答しました。

 

同氏はアメリカ生まれで父はナイジェリア人で、母は英国人であり、2008年の北京五輪で米国代表として出場権を逃した後に、10年に英国代表になった経歴があります。

 

 


五輪憲章には「同時に2つ以上の国籍を持つ競技者は自己の判断により、どちらの国を代表してもよい」とあるので、米国と英国の国籍を保有する同氏の出場資格に何の問題もないのだが、英国民としては、「どうして主将にまでする必要があるのか」という感情はあります。

 

 


英国では、「裸足の天才少女ランナー」と騒がれた南アフリカ出身のゾーラ・バッド(45)も、1984年のロサンゼルス五輪に出場するため英国籍を取得しました。

 


しかし、当時の南アフリカは、アパルトヘイト(人種隔離政策)をとる南アはスポーツでも国際社会から孤立していたからで、今回の帰化とは事情が違います。

 

 

世界がグローバル化されて、国籍を選択することでオリンピックの出場の可能性が高まったことを肯定するのか、または否定するのかを、国家ではなく個人が判断する時代が訪れつつあるかもしれません。

 

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