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「はだしのゲン」異例の増刷
9月2日 16時31分

「はだしのゲン」異例の増刷
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原爆投下後の広島で力強く生きる少年の姿を描いた漫画「はだしのゲン」は、注文が相次いでいることから、出版社が例年の5倍に当たる異例の1万部の増刷を決め、印刷会社が作業に追われています。

漫画「はだしのゲン」は、去年12月に73歳で亡くなった被爆者で漫画家の中沢啓治さんが、原爆投下後の広島で力強く生きる少年「ゲン」の姿を描いた作品です。
東京・文京区の出版社では、中沢さんが亡くなり、作品が番組などで多く取り上げられたことに加え、松江市の教育委員会による閲覧制限の要請を巡り、さらに注文が相次いだため、合わせて1万部の増刷を決めました。
この会社では、原爆の日を前に、毎年、2000部を増刷していますが、年間の増刷が、その5倍の1万部に達するのは異例だということです。
東京・足立区にある従業員およそ20人の印刷工場は、増刷に次ぐ増刷で作業に追われています。
このほか別の出版社も、例年のおよそ5倍の増刷を決めたということです。
作品は、アジアや欧米など海外でも出版され注目を集めていて、昭和48年の発表からちょうど40年となることし、漫画「はだしのゲン」は多くの反響を呼んでいます。
1万部の増刷を決めた汐文社の政門一芳社長は「閲覧制限の要請で関心が高まったのは皮肉なことですが、1人でも多くの人に読んでもらえればありがたいし、中沢さんも本望だと思います」と話していました。

閲覧制限で関心

去年亡くなった被爆者で漫画家の中沢啓治さんが描いた漫画「はだしのゲン」は、発表から40年となりますが、例年2000部ずつ増刷されてきました。
6歳のときに広島で被爆し、父や弟など家族3人を亡くした中沢さんが、みずからの体験も交えて描いた漫画「はだしのゲン」は、昭和48年の発表からことしで40年になります。
作品を出版する汐文社は、原爆の日を前に、毎年7月上旬に2000部の増刷を続けていて、発行部数は、累計で1000万部を超えています。
会社では、去年12月に中沢さんが亡くなって初めての原爆の日を迎えることや、「はだしのゲン」をテーマにした番組が放送されたことから、8月上旬までに、例年の2倍の4000部を増刷しました。
こうしたなか、松江市の教育委員会が市内の小中学校に対し、子どもの閲覧を制限するよう要請していたことが明らかになり、作品への関心が高まったことからさらに4000部を追加しました。
閲覧制限の要請は撤回されましたが、その後も、注文や問い合わせが続いていることから、会社は先月28日、新たに2000部の増刷を決め、ことしの増刷は合わせて1万部に達しました。
「はだしのゲン」は、英語やロシア語、それに韓国語やイランのペルシャ語など合わせて20の言語に飜訳され、海外でも出版されているほか、かつて日本政府が、NPT=核拡散防止条約の準備委員会の会場で英語版を配布したこともあり、唯一の被爆国・日本が受けた原爆の被害を世界に伝える作品ともなっています。

都内では品切れも

都内の書店では、客からの問い合わせが多いことから、漫画「はだしのゲン」の特設コーナーを設けていて、シリーズによっては品切れとなっているものもありました。
東京・新宿区の紀伊国屋書店では、8月から、店内の目立つ場所に「はだしのゲン」の特設コーナーを設けています。
この書店では、8月の終戦の日に合わせて毎年夏に、戦争と平和について考える作品のコーナーを設けていますが、「はだしのゲン」を特集したコーナーを設置するのは、初めてではないかということです。
書店によりますと、去年12月に作者の中沢啓治さんが亡くなって以降、客からの問い合わせが目立ち始め、松江市教育委員会による閲覧制限の問題が明らかになってからさらに増えて例年の倍以上に上っているということです。
書店によりますと、作品はたびたび品切れとなり、入荷待ちとなったケースもあったということで、2日も、シリーズによっては品切れとなっているものがありました。
書店の担当者は「従来は年配の人が手に取る姿が目立ちましたが、ことしは若い世代の人からの注文や問い合わせが増えていると感じます」と話していました。

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