2013年9月3日火曜日

汚染水海洋放出事件を刑事告訴!

本日、武藤類子団長ら3名は、福島県警に対して、東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件に関して、東京電力元幹部・武藤栄ら32名及び法人としての東京電力株式会社を、公害罪の被疑事実でそれぞれ刑事告発しました。



告発人目録
  1. 武藤 栄 東京電力株式会社前・取締役副社長(~2011年6月)原子力・立地本部長
  2. 勝俣 恒久 東京電力株式会社 取締役会長(~2012年6月)
  3. 皷 紀男 東京電力株式会社 取締役副社長(~2012年6月)福島原子力被災者支援対策本部名長原子力・立地本部副本部長
  4. 西澤 俊夫 東京電力株式会社 取締役社長(~2012年6月)
  5. 小森 明生 東京電力株式会社 常務取締役(~2012年6月)原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター所長 
  6. 清水 正孝 東京電力株式会社 前・取締役社長(~2011年6月)
  7. 藤原 万喜夫 東京電力株式会社 常任監査役(~2011年6月)・監査役会会長
  8. 古谷 昌伯 東京電力株式会社 取締役(~2012年6月)
  9. 高橋 彰 東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
  10. 片岡 和久 東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
  11. 横田 昌史 東京電力株式会社 常務執行役(~2012年6月)
  12. 下河邉 和彦 東京電力株式会社 取締役会長
  13. 廣瀬 直己 東京電力株式会社 代表執行役社長、取締役、執行役
  14. 相澤 善吾 東京電力株式会社 代表執行役副社長取締役、執行役取締役副社長
  15. 山口 博 東京電力株式会社 取締役代表執行役副社長
  16. 石崎 芳行 東京電力株式会社 代表執行役副社長
  17. 嶋田 隆 東京電力株式会社 取締役、執行役
  18. 内藤 義博 東京電力株式会社 取締役
  19. 數土 文夫 東京電力株式会社 取締役
  20. 能見 公一 東京電力株式会社 取締役
  21. 小林 喜光 東京電力株式会社 取締役
  22. 樫谷 隆夫 東京電力株式会社 取締役
  23. 藤森 義明 東京電力株式会社 常務執行役
  24. 佐野 敏弘 東京電力株式会社 常務執行役
  25. 村松 衛 東京電力株式会社 常務執行役
  26. 新妻 常正 東京電力株式会社 常務執行役
  27. 武部 俊郎 東京電力株式会社 常務執行役
  28. 増田 祐治 東京電力株式会社 常務執行役
  29. 山崎 剛 東京電力株式会社 常務執行役
  30. 住吉 克之 東京電力株式会社 常務執行役
  31. 姉川 尚史 東京電力株式会社 常務執行役
  32. 壹岐 素巳 東京電力株式会社 常務執行役
罪名
人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)

■告発プレスリリース ←クリックください。



本日、告発したのは、団長・副団長ら3名の福島県民(今後、追加の告発人の募集を始めます)

東電は2011年6月17日、政府から検討を求められた「原子炉施設を囲む遮水壁の設置」について計画を策定したものの、株主総会を前にして「1000億円」という工事費を計上することで、債務超過、経営破綻となることを危惧し、中長期的対策として問題を先送りにしました。その後、約2年間にわたり、抜本的対策を講ずることなく放置。またこの危機的な状況を、政府規制担当者らに説明することもありませんでした。
この東電による犯罪的行為の結果として、放射能汚染水が太平洋に流出。漁業関係者はもちろんとして周辺住民を恐怖と絶望に陥れ、さらには国際問題にもなろうとしています。

現在、福島原発告訴団の告訴は不起訴へ…というリーク記事が流れています。これらの記事の真偽は不明ですが、こうした流れが、「我々は何をしても罪に問われることはないのだ」と、東電関係者を思いあがらせる結果となり、今回の二次被害を生んだのではないでしょうか。
仮設タンクを、強度と安全性を備えた堅牢なタンクに切り替えることもなく放置し、四方遮水壁も着工せず、漏れた水をせき止める周囲のコンクリート堰の排水弁は開け放したまま…。このように、誰が聞いても呆れるばかりの杜撰な対応が、金輪際、二度と起きぬように、厳格な処罰をお願いしたいと思います。

私たちは、今回、検察ではなく福島県警に告訴しました。事故当時、いのちがけで人命救助や避難誘導の任にあたってくださった警察官のみなさんなら、私たちの訴えを真摯に受け止めていただけると信じてのことです。汚染水流出事件は、極めて明らかな犯罪です。早急に告訴を受理し、強制捜査の上、起訴につなげていただけることを、心から願っております。

■報道
東電、費用公表に難色 「四方遮水壁 1000億円規模」(東京新聞)
汚染水、公害処罰法に違反 東電社長ら刑事告発へ 福島県民(東京新聞)
原発汚染水:告訴団、福島県警に告発状提出(毎日新聞)
被災者らが東電社長らを刑事告発 福島原発の汚染水漏れ(朝日新聞)
汚染水漏れ、東電と幹部を告発…福島の住民団体(読売新聞)
福島告訴団、東電の対応批判 汚染水巡り現旧幹部を告発(日本経済新聞)
東電と新旧幹部32人の告発状提出 福島告訴団(産経新聞)
東電の刑事責任を問う告発(NHKニュース)
汚染水問題が事件に 福島住民、東電経営陣を公害罪で刑事告発(田中龍作ジャーナル)

2013年9月2日月曜日

【緊急拡散】福島県警へ集合!

【福島県警察本部へ「福島第1原発の汚染水問題」で、告発します!】

福島原発告訴団は、明日9月3日(火)午前9:30に福島県警察本部へ、東京電力株式会社とその経営幹部を「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律3条」の違反で刑事告発を致します。
福島第一原発の汚染水対策の責任は東京電力に課せられています。
しかしながら東京電力は、汚染水管理のために必要な注意義務を怠り、適切な対策をとらず、タンクからの高濃度汚染水漏れを引き起こしました。また、地下水の建屋への浸透による汚染水の海への流出を防げず、汚染を拡大したことは公害罪法3条違反にあたると、私たちは考えます。
今朝、産経新聞が「週内にも不起訴とする方針を固めた」というリーク報道を行いましたが、今回も、その信憑性はわかりません。

東電原発事故、菅元首相ら週内にも不起訴へ 検察当局、過失認定できず(産経新聞)

私たちはあきらめずに、この原発事故の責任を問い続けます。



■ 9月3日(火)の行動予定
  • 9:00集合 福島県庁西庁舎 2階ロビーで打ち合わせ
  • 9:30告発状提出 福島県警察本部へ告発状提出
  • 11:00記者会見 福島県庁2階 県政記者室
急な呼びかけではありますが、ご都合のつく方は、ぜひ、ご参加いただきますよう、よろしくお願い致します。
東京では、同日10時から、司法記者クラブにて記者会見を行います。


■ プレスリリース
2013年9月3日
福島原発告訴団・弁護団
本日の告発について

1.本日、武藤類子(福島原発告訴団団長)ら3名のものは福島県警に対して、東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件に関して、東京電力元幹部武藤栄ら32名及び法人としての東京電力株式会社を公害罪の被疑事実でそれぞれ刑事告発した。
2.被告発人(32名)
1.武藤 栄   東京電力株式会社  前・取締役副社長(~2011年6月)原子力・立地本部長
2.勝俣 恒久  東京電力株式会社  取締役会長(~2012年6月)
3.皷 紀男   東京電力株式会社  取締役副社長(~2012年6月) 福島原子力被災者支  援対策本部名長原子力・立地本部副本部長
4.西澤 俊夫  東京電力株式会社  取締役社長(~2012年6月)
5.小森 明生  東京電力株式会社  常務取締役(~2012年6月)原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター所長 
6.清水 正孝  東京電力株式会社  前・取締役社長(~2011年6月)
7.藤原 万喜夫  東京電力株式会社  常任監査役(~2011年6月)・監査役会会長
8.古谷昌伯  東京電力株式会社  取締役(~2012年6月)
9.高橋 彰   東京電力株式会社  常務執行役(~2012年6月)
10.片岡 和久  東京電力株式会社  常務執行役(~2012年6月)
11.横田 昌史  東京電力株式会社  常務執行役(~2012年6月)
12.下河邉 和彦 東京電力株式会社 取締役会長
13.廣瀬 直己  東京電力株式会社 代表執行役社長、取締役、執行役
14.相澤 善吾  東京電力株式会社  代表執行役副社長取締役、執行役取締役副社長
15.山口 博  東京電力株式会社 取締役代表執行役副社長
16.石崎 芳行  東京電力株式会社 代表執行役副社長
17.嶋田 隆  東京電力株式会社 取締役、執行役
18.内藤 義博  東京電力株式会社 取締役、
19.數土 文夫  東京電力株式会社 取締役
20.能見 公一  東京電力株式会社 取締役
21.小林 喜光  東京電力株式会社 取締役
22.樫谷 隆夫  東京電力株式会社 取締役
23.藤森 義明  東京電力株式会社 常務執行役
24.佐野 敏弘  東京電力株式会社 常務執行役
25.村松 衛  東京電力株式会社 常務執行役
26.新妻 常正  東京電力株式会社 常務執行役
27.武部 俊郎  東京電力株式会社 常務執行役
28.増田 祐治  東京電力株式会社 常務執行役
29.山崎 剛  東京電力株式会社 常務執行役
30.住吉 克之  東京電力株式会社 常務執行役
31.姉川 尚史  東京電力株式会社 常務執行役
32.壹岐 素巳  東京電力株式会社 常務執行役
33.法人としての東京電力株式会社

3.罪名
人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律(公害罪法)
3条2項
 東電役員、元役員ら33名
3条2項、4条
法人としての東京電力株式会社

4.告発の内容
(1)タンクからの漏洩
(a)注意義務
 東京電力は、人の健康に有害な放射性物質を大量に含んだ汚染水を貯蔵するために設置した応急仮設タンクからの汚染水漏洩を防ぐため,応急仮設タンクを早期に通常の強度と安全性を備えたタンクに切り替え,またタンク周りに設置された堰に設けられた排水弁を開放したままにすることなく,止栓して,仮にタンクからの流入が起きても,海洋への流出を防ぎ,さらにタンクからの漏洩が起きていないかを確実に検知し,速やかに漏洩防止の措置をとるなどの善管注意義務を負っていた。
(b)東京電力による漏洩
これらの注意義務をことごとく怠り,平成25年(2013年)7月までに,タンクに損傷を引きおこし,汚染水のタンクからの約300トンの汚染水の漏洩に引き続いて海洋環境への漏洩を引きおこし,また,これを速やかに検知して漏出を早期に食い止めることができず,事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を大量に排出した,

(2)地下水からの漏洩
(a)注意義務と過失
 福島第1原発の原子炉建屋地下には山側から海方向に毎日約1000トンの地下水の流れがあり,これを迂回させて海に排出する確実な経路を確保しなければ,早晩地下水が建屋地下に流入し,炉心溶融により建屋地下に貯留している放射性物質と接触し,放射性物質に汚染された状態となって海に排出される事態となることを認識しながら,平成23年(2011年)6月17日政府から検討を求められた原子炉施設を囲む遮水壁の設置について,経営破綻を危惧して中長期的対策として問題を先送りにし,その後約2年間にわたり,抜本的対策を講ずることなく放置し,また危機的な状況を政府規制担当者らに説明しなかった。
(b)東京電力による漏洩
日付不明の時期から今日に至るまで,毎日300ないし400トンの,東京電力が認めているだけで,平成23年(2011年)5月以降,海洋に流出したセシウム137は20兆ベクレル,ストロンチウムは10兆ベクレルに上る人の健康に有害な放射性物質を大量に含んだ汚染水の海洋への排出を引きおこし,事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出した,

(3)告発のポイント
  福島第一原発事故の収束もないまま、福島原発告訴団の告訴・告発は不起訴にするとの報道がまことしやかに流れている。
  本件東京電力福島第1原発放射能汚染水海洋放出事件が発生したのは、まさに地検が上記告訴・告発について、真摯に捜査、検討せず、東京電力に何をやっても許されるという慢心を与えたためである。
  本件告発では、本件の捜査を福島県民に寄り添い、その痛みを最も近くで理解している福島県警の手に委ねることとした。


 
 

2013年8月29日木曜日

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目次
  • まえがき----落合恵子
  • 第1章 福島原発告訴団の思い(7人のメッセージ)
  • 第2章 陳述書(50人)
  • 第3章 解説(明石昇二郎「裁かれる東京電力と原子力ムラ」)
  • あとがき----武藤類子
  • 資料 告訴団声明・歩み

2013年8月26日月曜日

追加上申書を提出しました!

「近く、地検から不起訴の判断が出る」という報道が繰り返されています。
東電幹部・菅元首相ら不起訴へ 原発事故で検察 (日本経済新聞)
菅元首相や班目元委員長ら不起訴へ…原発事故 (読売新聞)

この間、東京地検、福島地検に上申書を提出し、その都度、東京の司法記者クラブにて記者会見を行い、弁護士さんから、「起訴しかありえない」というポイントを丁寧にレクチャーしていますが、それらについては、全く報道されません。
本日、急遽、追加の上申書を東京地検に提出しました(福島地検へは速達)。
不起訴はありえないというポイントをあらためて指摘し、地検に再考を求める上申書です。

追加上申書 

どうぞ、世論を高めてください。
「不起訴はありえません」と、地検へお声をお寄せください。お願いいたします。


こちらの論説もご参考まで。
(竹内敬二の窓)全員不起訴へ…じゃあ、誰の責任? (朝日新聞)

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  • まえがき----落合恵子
  • 第1章 福島原発告訴団の思い(7人のメッセージ)
  • 第2章 陳述書(50人)
  • 第3章 解説(明石昇二郎「裁かれる東京電力と原子力ムラ」)
  • あとがき----武藤類子
  • 資料 告訴団声明・歩み
 
   

2013年8月11日日曜日

【告訴団の見解】福島民友の記事に抗議!

 
 
「福島民友」新聞(8月10日、30面)『原発不起訴へで「強制捜査せず」に不満』の記事内に、武藤類子団長のコメントが掲載されましたが、コメントに重大な誤りがあったため、福島民友新聞社に対して厳重抗議を致しました。

この記事は、「原発事故 全員不起訴へ」(朝日新聞8月9日)の報道について電話でコメントを求められ、団長が答えたものでした。

記事では、『武藤団長は「今は業務上過失致傷といえないとしても、原発事故による甲状腺がんなどの発症リスクも否定できない」と懸念を…』と書かれています。これは「今は業務上過失致死傷といえない」と「検察」が判断した、という報道についての反論のコメントだったのですが、告訴団が「業務上過失致死傷に問えないと考えている」と読者に受け取られかねない記事となっていることに抗議致しました。
 
また私たちは、極めて正当な要求として、「強制捜査の上で起訴せよ」と訴えています。「不満を漏らした」という言葉では、私たちの「憤怒」を表現するには弱く感じました。検察には、強く、強く、起訴を求めています。
 

2013年8月10日土曜日

【拡散希望】朝日新聞報道を受けて。

本日(8月9日)、朝日新聞の1面トップに「原発事故全員不起訴へ」という記事が掲載されました。

原発事故、全員が不起訴へ 東電前会長や菅元首相ら(朝日新聞)

福島の告訴団事務局には、早朝から「不起訴は許せない」、「地検に抗議の電話しました」、「がんばってください」と、ひっきりなしに電話がかかってきています。また、「お葉書作戦は続けるのでしょうか」という質問も多くいただきました。

朝日新聞の記事は、あくまで推測であり、地検はまだ判断を出してはいません。…とはいえ、地検内の誰かのリークがニュースソースであるだろうと思われ、判断を出す日のは近いのかもしれません。お葉書作戦を今こそ大拡散してください。どんどん葉書を出してください。「朝日の記事には驚きましたが、よもや不起訴ではないでしょうね」と!

弁護団が、「不起訴報道」に対して、「反論の投稿をしよう」とコメントを作成し、朝日新聞に連絡しましたが、「今回は掲載を見合わせる」という返事が返ってきました。
そこで、「不起訴報道への反論稿」を以下に掲載いたします。みなさま、広く拡散をお願いいたします。

なお、朝日新聞の記事は、「福島原発告訴団の告訴」と、別の方々の告訴(数件)もいっしょにまとめて書かれています。福島原発告訴団は「菅直人元首相」、「枝野幸男元官房長官」、「海江田万里元経済産業相」を告訴していません。

・被告訴人名簿はこちらです。
  • 勝俣 恒久 東京電力株式会社 取締役会長
  • 皷 紀男 東京電力株式会社 取締役副社長 福島原子力被災者支援対策本部名長原子力・立地本部副本部長
  • 西澤 俊夫 東京電力株式会社 取締役社長
  • 相澤 善吾 東京電力株式会社 取締役副社長 原子力・立地本部長
  • 小森 明生 東京電力株式会社 常務取締役原子力・立地本部副本部長兼福島第一安定化センター所長 
  • 清水 正孝 東京電力株式会社 前・取締役社長
  • 藤原 万喜夫 東京電力株式会社 常任監査役・監査役会会長
  • 武藤 栄 東京電力株式会社 前・取締役副社長原子力・立地本部長
  • 武黒 一郎 東京電力株式会社 元・取締役副社長原子力・立地本部長
  • 田村 滋美 東京電力株式会社 元・取締役会長倫理担当
  • 服部 拓也 東京電力株式会社 元・取締役副社長
  • 南 直哉 東京電力株式会社 元・取締役社長・電気事業連合会会長
  • 荒木 浩 東京電力株式会社 元・取締役会長・日本経済団体連合会副会長
  • 榎本 聰明 東京電力株式会社 元・取締役副社長原子力本部長
  • 吉田 昌郎 東京電力株式会社 元・原子力設備管理部長、前・第一原発所長
  • 班目 春樹 原子力安全委員会委員長
  • 久木田 豊 同委員長代理
  • 久住 静代 同委員
  • 小山田 修 同委員
  • 代谷 誠治 同委員
  • 鈴木 篤之 前・同委員会委員長(現・日本原子力研究開発機構理事長)
  • 寺坂 信昭 原子力安全・保安院長
  • 松永 和夫 元・同院長(現・経済産業省事務次官)
  • 広瀬 研吉 元・同院長(現・内閣参与)
  • 衣笠 善博 東京工業大学名誉教授(総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員 地震・津波・地質・地盤合同WGサブグループ「グループA」主査、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会耐震・構造設計小委員会地震・津波・地質・地盤合同WG委員)
  • 近藤 駿介 原子力委員会委員長
  • 板東 久美子 前・文部科学省生涯学習政策局長(現・同省高等教育局長)
  • 山中 伸一 前・文部科学省初等中等教育局長(現・文部科学審議官)
  • 合田 隆史 前・文部科学省科学技術政策局長(現・同省生涯学習政策局長)
  • 布村 幸彦 前・文部科学省スポーツ・青少年局長(現・同省初等中等教育局長)
  • 山下 俊一 福島県放射線健康リスク管理アドバイザー(福島県立医科大学副学長、日本甲状腺学会理事長)
  • 神谷 研二 福島県放射線健康リスク管理アドバイザー(福島県立医科大学副学長、広島大学原爆放射線医科学研究所長)
  • 高村 昇 福島県放射線健康リスク管理アドバイザー(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授)


【不起訴報道への反論稿】

何の津波対策もとらなかった東電免責はあり得ない
                  河合 弘之(弁護士・福島原発告訴団弁護団代表)

 去る8月9日本紙朝刊に、月内にも福島原発事故について、我々が行っていた告訴・告発について不起訴処分がなされる方向で検察庁が調整に入っているという報道がなされた。記事において不起訴理由とされている点を取り上げ、告訴人らの考えを述べ、検察官・検察庁の再考を強く求めたい。

 本紙報道によると不起訴の理由は、「事故と災害関連死との因果関係はないとは言い切れない。今回のM9規模の大地震と津波は、専門家の間で予測されていたと言えず、事前に想定できたのはM8.3までだった。巨大津波の発生と対策の必要性を明確に指摘していた専門家も少なかった。東電が2008年に津波高さ15.7メートルと試算していた点についても、専門家の間で賛否が分かれ、東電も『実際には起きないだろう』と受け止め、対策を検討したものの、具体化は見送った。東電の津波対策は十分ではなかったものの、刑事責任を問うことは困難。」とされている。

 検察官の立脚する予見可能性の議論には次の疑問がある。15.7メートルの津波は東電内部の検討において確かに試算されていた。この原発の想定津波高はわずか6メートルであった。この地域でマグニチュード8.3程度の地震と高さ10メートル程度の津波が来ることは、地震と津波の専門家なら、だれもが頷く普通の想定であった。

 電源喪失を防止するための対策としては、防潮堤の設置だけでなく、外部電源の耐震性強化、非常用ディーゼル発電機とバッテリーの分散と高所設置等、構内電源設備の耐震性,耐津波性の強化など多様な措置がありえた。

 浜岡原発においては、老朽化した1,2号機は耐震補強を断念し、2008年には廃炉の決定がなされていた。福島第1原発1-3号機についても、同様の措置は十分あり得た。にもかかわらず、東京電力は一切何の対策もとらなかった。予測されたレベルの地震と津波対策を講じたにもかかわらず、それが不十分であったわけではない。東京電力自身が、原子力改革特別タスクフォースの報告において、結果を回避できた可能性を認めているのだ。

 事故以前の東京電力社内のすべての証拠を収集し、どのような検討がなされていたのかを解明するには、強制捜査による関係資料の押収が欠かせない。このことは、捜査機関として当然の責務だ。検察庁は、テレビ会議録画や社内メールなどの任意提出を受けただけで、今日まで強制捜査を実施していない。多くの市民の生命と生活、生業を根こそぎ奪ったこの事故について、強制捜査もしないで捜査を終結するような事態は絶対にあってはならない。検察内部の良心が検察庁を揺り動かし、強制捜査の実施と起訴が実現することを心から願ってやまない。