【コラム】韓国社会をなめきった李石基の「勇士ごっこ」

【コラム】韓国社会をなめきった李石基の「勇士ごっこ」

 内乱を企てたとする疑いが持たれている李石基(イ・ソッキ)国会議員がカメラの前で浮かべる笑みは、国民の心を不快にさせている。野党・統合進歩党の関係者が「でっち上げだ」などと主張した記者会見は、全ての国民を憤慨させるものだ。李石基議員が先日、国家情報院前で行ったデモで、まるで英雄かのように手を振るさまは、リベラル傾向の人々をも恥ずかしがらせている。彼らの図太さ、唐突さは、あたかも彼らが大韓民国よりも上位にあるかのようだ。いや、国民をまるで一兵卒扱いしている。

 我々がこれまでどういう態度を取ったために、李石基議員らは我々をこれほど小ばかにするのか。彼らが白昼に街頭であれだけ堂々としていられるのは、韓国社会がどれだけなめられているからだろうか。我々はああいう「ドンキホーテのパルチザン勇士ごっこ」(ジャーナリスト・陳重権=チ・ジュングォン=氏)に振り回される国ではないが、ああいう人間をのさばらせたことも、結局は我々の水準を表れではなかろうか。

 問題の根本は、反国家事犯に対し、韓国の社会や政界があまりにも寛大で無関心だったことだと思う。第一の原因は、過去の政治権力が反対勢力を反国家事犯として追及したり、罪を被せたりしたことがある。政治権力を憲法を超越して維持する上で邪魔になる人物や勢力をいわゆる「アカ」扱いして処断してきただけに、国民は「反国家」事犯を単なる「反政府」程度にしか考えなくなった点は否めない。

 また、国民個人が政治権力に失望し、それを頻繁に批判する中で、反政府に寛大となり、その反政府が「反大韓民国」に変質しても、それに慣れきってしまったのではなかろうか。言わば、「反国家」が「反政府」のかさを被り、病原菌のように広がっていったのだ。彼らがあれほど傲慢で勝手な振る舞いができるのは、韓国社会には自分たちに同調する勢力が増えたというそれなりの計算があったことを意味する。そういう人々が20%を超えるという人もいる。それが何よりも深刻な問題だ。

 その上、我々が経済的に成長し、自由民主主義の実践という面でも上位にあるという自負が、ときには反国家的な行為に対して寛大になり、それは多様性を受け入れることだと錯覚した点もある。事実多くの人は、我々の経済力、軍事力が北朝鮮よりも優位にあり、親北・従北(北朝鮮追従)にも打ち勝つことができ、しかも北朝鮮により寛大であることが成熟した国民の尺度であるかのように感じる「流行性北朝鮮病」にかかっている。

金大中(キム・デジュン)顧問
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