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米軍ヘリ墜落事故 広がる波紋
8月6日 19時15分
8月5日、沖縄県にあるアメリカ軍のキャンプハンセンで訓練中のヘリコプターが墜落する事故が起きました。
在日アメリカ軍基地が集中する沖縄県で相次ぐ事故。
住民の間では反発や不安が強まっています。
事故の波紋について、沖縄放送局の池島弘樹記者が解説します。
目撃された黒煙
事故が起きたのは、5日の午後4時すぎ、沖縄本島北部、宜野座村などにまたがるアメリカ軍のキャンプハンセンの敷地内でした。
山の斜面から黒煙が上がっているのを基地の周辺に住む複数の住民が目撃しました。
墜落したのは、アメリカ空軍嘉手納基地所属のHH60ヘリコプター1機です。
アメリカ軍によりますと、乗っていた4人のうち3人は救助されましたが、1人が亡くなりました。
キャンプハンセンは、アメリカ海兵隊が管理する基地で、名護市や宜野座村など4つの自治体にまたがっています。
面積は5100ヘクタール余り。
軍の建物が並ぶ「キャンプ地区」と、山岳部の「訓練地区」からなっています。
基地では、ヘリコプターなど軍用機の発着訓練のほか、実弾を使用した射撃訓練が日常的に行われています。
実弾の射撃訓練では、敷地外の民間の地域に実弾が飛び出したケースもあり、周辺住民に不安を与えていました。
強まる不安と反発の声
今回の事故現場から最も近い住宅までの距離は2キロほどでした。
NHKのヘリコプターから撮影した映像では、一夜明けた6日の朝も現場から白い煙が上がり、機体が焼け落ちて骨組みだけが残っているのが確認できました。
近くの住民は、一様に不安を訴えました。
「一歩間違えれば民間地に落ちたかもしれません。怖いです」
「子どもたちのところに落ちたらと思うとぞっとしました」
事故の衝撃は、沖縄県民に広がりました。
「これは許されることじゃない」
怒りの声が各地で上がっています。
繰り返される事故
日本にあるアメリカ軍専用施設のおよそ74%が集中する沖縄県。
これまでもたびたび、アメリカ軍の航空機の墜落事故が起きています。
県によりますと、沖縄が本土に復帰した昭和47年以降、44件発生。
平成16年8月には、普天間基地に隣接する宜野湾市の沖縄国際大学に海兵隊の大型輸送ヘリコプター、CH53が墜落。
奇跡的にけが人はいませんでしたが、一つ間違えば大惨事につながるところでした。
平成11年4月には沖縄本島北部の国頭村の沖合で同じ型のヘリコプターが墜落して4人が死亡する事故も起きています。
また、最近では、ことし5月アメリカ空軍のF15戦闘機1機が沖縄本島の沖合に墜落し、県が原因究明がなされるまでの間の飛行中止を求めましたが、アメリカ軍はその2日後には飛行訓練を再開し、原因や再発防止策の説明はまだ行われていません。
オスプレイ追加配備は延期へ
事故が起きた5日は、アメリカ軍の新型輸送機、オスプレイの追加配備が完了するとみられていた日でした。
アメリカ本土などで事故が相次いだことから沖縄県民の間で安全性への懸念の声が高まっていたオスプレイ。
仲井真知事などが配備の撤回を政府に繰り返し求めましたが、去年10月、沖縄県に12機が配備され、各地で物資の輸送や兵士をつり下げての飛行など訓練が本格化しています。
そして、8月3日に追加配備の2機が到着し、残る10機も5日に到着する見通しだったのです。
今回の事故を受けて、アメリカ軍は5日夜に広報文を出し、追加配備の日程を延期すると発表しました。
この中で、アメリカ軍は「追加配備の準備はできているが、現地の状況などを考えて出発を延期する」としています。
しかし、どの程度、延期するかについては明らかにしていません。
6日も広がる反発
6日、抗議の声はさらに広がりを見せています。
仲井真知事は、沖縄県庁で記者団に対し「関係省庁には、安全運航の徹底と、事故の原因究明について、当然、要求したい。人口密集地帯にある基地が多く、安全運航と確保徹底については強く申し入れたい」と発言。
キャンプハンセンを抱える宜野座村の當眞淳村長も沖縄防衛局を訪れ、事故原因の早期究明と再発防止、それに、安全性が確認されるまでヘリコプターの飛行訓練を即時中止することなどを申し入れました。
一方、アメリカ空軍嘉手納基地は6日、今回墜落した「HH60ヘリコプター」と同じ型のヘリコプターの運用を当面、見合わせることを明らかにしました。
オスプレイの追加配備を巡っても、反発の声が一層強まっています。
普天間基地のゲート前では、6日の早朝から市民団体のメンバーなど合わせて100人以上が集まり、配備の反対を訴えるプラカードを掲げたり、「追加配備をやめろ」とシュプレヒコールを繰り返したりしました。
また、沖縄県の市長会と町村会の会長は6日の記者会見で、「延期ではなく、追加配備の断念とこれまでの配備の撤回を求める」などと抗議しました。
基地の負担を背負い続ける沖縄の厳しい現実。
今回の墜落事故は、基地と隣り合わせの生活のなかで沖縄県民が日頃から感じている不安が現実となり、事故の危険性が高いことが改めて裏付けられたと言えます。
安心して暮らしたいという県民の思いがどうしたら実現するのか、国民一人一人が考えるべき課題だと思います。