蔚山地検刑事第1部(チャ・メンギ部長)は2日、大気汚染物質測定器(TMS)を不正に操作し、8年間で372回にわたり有毒ガスを放出した容疑で、廃棄物焼却業者の会長(69)ら2人の身柄を拘束し、起訴したと発表した。また、同業者の環境技術者ら4人を在宅起訴した。
会長らは2005年8月から今年5月にかけ、月700万ウォン(約63万円)余りの廃棄物処理費用を浮かせるため、有毒ガスの塩化水素を外部に放出した疑いが持たれている。検察と蔚山市の合同点検などで容疑が発覚した。人が塩化水素を吸い込むと、せきや息苦しさ、気道の炎症といった症状が出ることがある。また、高濃度の塩化水素を吸い込むと死に至る場合もある。塩化水素は第2次世界大戦の際にドイツ軍がユダヤ人虐殺に使用した毒ガスの主成分だ。
検察によると、この業者が今年5月に韓国環境公団へ報告した塩化水素の測定値は2.74-4.30ppm(1ppm = 0.0001%)だったが、実際は排出許可基準(20ppm)の2倍に当たる40ppmだったことが明らかになった。TMSは事業場から出る大気汚染物質を自動で測定し、環境公団に送信する装置だ。検察は「この業者は、TMSの不正操作を防ぐため環境部(省に相当)がTMS室入り口に設置した出入り監視用の熱感知センサーに遮断スイッチを取りつけ、誰でも出入りできるようにしていた」と明らかにした。また、会長は担当者が変わった場合、測定器の操作方法を後任者に優先的に引き継ぐよう指示していたという。