福島汚染水漏れ:国費470億円投入へ

毎日新聞 2013年09月03日 10時55分(最終更新 09月03日 12時49分)

 政府の原子力災害対策本部(本部長・安倍晋三首相)は3日、東京電力福島第1原発で相次ぐ汚染水漏れ事故について、政府として主体的に取り組むことを明記した「基本方針」を了承した。地下水が原子炉建屋に流入するのを防ぐ凍土遮水壁の建設費用や、汚染水処理装置の増設・改良計画に国費470億円を投入することが柱。しかし今回盛り込まれた対策は発表済みの計画が大半で、2020年夏季五輪の東京招致を意識した「海外向けアピール」の様相を呈している。

 安倍首相は3日の対策本部で「従来のような場当たり的な事後対応ではなく、汚染水問題の根本的な解決に向け、政府が前面に立って解決に当たる」と決意を述べた。

 基本方針によると、凍土遮水壁に約320億円を充てるほか、放射性物質を除去する汚染水処理装置の増設・改良費用に約150億円を投入する。うち今年度予算の予備費(約3500億円)から遮水壁に140億円、処理装置に70億円の計210億円を拠出し、計画を前倒しする。

 また、汚染水問題に取り組む関係閣僚会議を原子力災害対策本部の下に設置するほか、関係省庁で作る「廃炉・汚染水対策現地事務所」を設け、担当職員を福島第1原発に常駐させる。風評被害防止のため、海洋モニタリング情報を定期的に公表する枠組みを作るとともに、在外公館などを通じた海外での広報活動も強化する。

 凍土遮水壁は延長1・4キロに及び、1〜4号機の原子炉建屋を囲むように設置する。凍結管を1メートル間隔で地表から20〜30メートルの深さまで垂直に打ち込み、管の中に氷点下40度以下の冷却材を循環させて周囲の土を凍らせ、「土の壁」を造る。地震などでひびが入っても、再び凍らせれば済むメリットはあるが、冷却する電気代などに多額の維持費がかかる。世界的にも前例のない工事になるため、実現可能かは不透明だ。東電は15年度中の完成を目指しているが、政府は国費投入で計画の前倒しを図る。

 一方、東電は汚染水から62種類の放射性物質を取り除く能力がある汚染水処理装置「ALPS(アルプス)」の稼働を目指すが、現在は試運転段階のトラブルで停止中。政府は今回の対策で処理能力の向上を目指す研究開発にも取り組む。

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