特集ワイド:続報真相 どないなんねん「堺の乱」 「大阪都構想」命運かけ来月市長選
毎日新聞 2013年08月23日 東京夕刊
◇目覚めるか「自治」のDNA 大阪への対抗心に火
中世に自治都市として繁栄し大茶人、千利休らを輩出した堺の「独立」が揺らいでいる。来月15日に告示される市長選(29日投開票)の最大の争点は日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長が実現を目指す「大阪都構想」に堺が加わることの是非だ。かつて大阪城のあるじ豊臣秀吉は天下統一にその財力を使おうと、武力で制圧した。それから四百余年−−「堺の乱」の行方やいかに。
「この選挙は『シティー・プライド』のかかった戦いなんですよ」。堺市役所4階応接室。竹山修身(おさみ)市長(63)がいきなり身を乗り出した。
シティー・プライド?
「町の誇り、市民の誇りです。大阪都構想では、堺市はいくつかの特別区に分割される。そうなったら、先人が育ててきた歴史や文化がズタズタにされるんですよ」
市役所までの道のり、同じポスターを何度も見かけた。竹山市長と日本サッカー協会の川淵三郎最高顧問ががっちり握手している。中央に「堺はひとつ! 堺を無くすな!」の大文字。とことん郷土愛に訴えかける作戦らしい。「高校の先輩なんですわ」。市長が相好を崩した。
一方、大阪維新の会が擁立した新人候補は同じ建物の7階上、議員応接室で迎えてくれた。「都構想で堺市が二つか三つの特別区になることに対して『分断だ』という批判がありますが、堺市をそのまま一つの区にする選択肢だって当然あります。現在、大阪府と大阪市で行われている法定協議会に入り、こういう議論を早く始めたい」。180センチ、86キロ。堂々たる押し出しの西林克敏市議(43)=4期、23日付で辞職=が滑らかに弁じる。「区や市の行政区分を超えて、祭りなどの文化を共有している地域はたくさんあります。行政上の線引きと文化圏は別物」と、現職への対抗心をあらわにした。
大阪都構想とは、政令指定都市の大阪市と堺市を解体し複数の特別区に再編。その特別区が福祉や教育など身近なサービスを担う一方、府を廃止して新設される「都」がインフラ整備などの広域行政を担うというものだ。府と政令市の二重行政解消を狙う橋下大阪市長にとっては維新結党の原点。ある意味で国政以上に重視していることは、先の参院選後に共同代表辞任を表明した際、「大阪の改革に専念したい」と語ったことからもうかがえる(結局は続投)。
橋下市長が大阪府知事だった2009年、府政策企画部長を辞して堺市長選に打って出たのが現職の竹山氏だ。知事の全面支援を受けて初当選したはずなのに、なぜ?